キャンピングカーに注目が集まる昨今。この全長9ⅿ超えの「カーベ・ロイヤルx880」はその大きさからして「モーターホーム」と呼ぶべきかも。「カーベ」というメーカーはスウェーデンでキャンピングカーを製造する架装メーカー。日本では聞き慣れない名前ながらも、ヨーロッパにおいては老舗高級メーカーなのね。

このロイヤルx880はメルセデス・ベンツの商用車であるスプリンターをベースにキングサイズのベッドを備え、シャワーにトイレ、システムキッチン、リビング、天井を下げて使用できるエクストラベッドまである。さながら走る高級マンションのモデルルームで、何も我慢しない暮らしが、旅行しながらできるってわけ。

空間の広さでいえばカップルには十分すぎて、家族4人ぐらいで利用するのがベスト。インテリアは北欧製らしく清潔感と温もりがあって居心地も抜群。このクルマで一泊二日のキャンプをしたんだけど、まず実感されたのはボディの気密性の高さだった。

カーベはマイナス50℃からプラス50℃までの気温幅で快適に過ごせる、iWall（アイウォール）というぶ厚いサンドイッチ構造の外壁でボディがおおわれている。保温と遮熱はもちろん、遮音性に加え、防湿性にも優れる。だから最低限の床下暖房やエアコンで室内温度を調整すれば、どんな季節でも快適な空間を保ってくれる。さながら繭の中にいるような感覚の空間になるんだな。

駐車時にはアウトリガーで路面に固定。これがすごく重要で、サスペンションによって室内がゆれることがないから、誰かに昼寝の邪魔をされることもない。キャンプをするなら側面に付いた大きなマルチシェードを広げてBBQ。星空の下で焚火をしつつ、夜も深まれば、シャワーを浴びてエアコンの効いた室内で飲みなおし。

そして眠くなればゆったりキングサイズのベッドで眠りにつく。どこにいても自分の家感覚でキャンプができる。他のキャンパーからは冷ややかな視線を向けられるかもしれないけれど、気密性の高いキャビンで外のノイズをシャットアウト（笑）。そう。すべての快適性は気密性にありってわけ。

エンジンは2.2ℓの直列4気筒ディーゼルで、実用的で静かなところはさすがメルセデス。燃費もめちゃくちゃいい。サスペンションはトラックと同じタンデムアクスル式で、構造は実にシンプルなのね。乗り心地も悪くなく、故障リスクを避けたタフな仕様だから長距離移動でも安心だし耐用年数も長そう。

運転感覚でいえば家具を積んで走る4トンのロングトラックに近くて、旧・普通免許（2006年以前の普通免許）でも運転できる。車幅が大型トラックなみの2.45ⅿあるのと、オーバーハングが長いから、コーナーでのリアの振り出しだけは気を付けたい。

自分が所有するなら、ひいきのサッカーチームのアウェイ観戦はすべてこれに乗って駆けつけたいと思った。日本全国津々浦々を旅しつつ、いっそ海外だってこのクルマで旅できたら最高。リビングで仕事もできるし、旅行が日常生活になる。「深夜特急」世代の理想のライフスタイルが実現しちゃうよね。