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【Mr.Children特集】小説家カツセマサヒコが選ぶ、歴代の神アレンジと超絶ライブアクト

  • 文:カツセマサヒコ
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ミスチルファンとして知られる小説家のカツセマサヒコさんに、これまでのミスチルライブの圧巻ライブパフォーマンスを教えてもらった。

CONCERT TOUR POPSAURUS 2001

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「花」

初のベストアルバムをひっさげた2001年のツアー「POPSAURUS」のオープニング曲が「花」でした。まさかのCメロ(「やがてすべてが~♪」)から始まる演出は誰も予想できなかったはず。その演出と桜井さんが披露した圧倒的な声量、官能的かつ躍動感あるアコギの弾き方が目に焼き付いて離れませんでした。

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Tour 2004 シフクノオト

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「掌」

初披露された2004年のツアーから今日まで、ライブでは一度も原曲通りに演奏されたことのない珍しい楽曲。ライブバージョンでは2サビ終わりから歌詞もメロディも大幅に変更され、「認め合えれば、ひとつにならなくていい」というメッセージをより強く私たちに伝えてくれています。

「youthful days」

彼らのライブはオーディエンスと一体になるように「近づく」時と、あえて「突き放す」時があり、ツアー「シフクノオト」で演奏された「youthful days」は前者の最高潮。とくに桜井さんが見せた2番の「乾杯!」の煽りと「抱擁とキスで」のジェスチャーは、ファンのあいだで話題になりました。

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DOME TOUR 2005 “ I ♥ U ”

~ FINAL IN TOKYO DOME ~

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「Worlds end」

ステージデザインの巨匠、マーク・フィッシャーが99年の「ツアー DISCOVERY」以来6年ぶりにデザインしたこのステージ。メンバーの背後に金属製の「Monster」が現れたり、「Worlds end」ではそれが旅客機になったりと、楽曲がもつ力強さをそのまま視覚的に表現した演出に度肝を抜かれました。

「Hallelujah」→「and I love you」

ミスター・チルドレンのライブでは曲と曲のつなぎ方も注目点のひとつ。かつて「Hallelujah」のアウトロが「花」につながるアレンジでファンを沸かせましたが、本ツアーでは「and I love you」と重なっていきました。この演出はまだ彼らのライブを見たことがないすべての人に見てもらいたいです。

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"HOME"TOUR 2007 ~in the field~

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「フェイク」→「Any」

「すべてはフェイク」という歌詞で終わる「フェイク」がアウトロで転調し、「そのすべて真実」と歌う「Any」につながる演出にしびれました。歌詞としては相反するふたつの楽曲が続けて演奏されることで、そこに存在する矛盾と、その矛盾すら包み込む愛や日常や感動について思いを馳せることになります。

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Tour 2009~終末のコンフィデンスソングス~

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「光の射す方へ」

ライブでも盛り上げどころで演奏されることの多い楽曲ですが、このツアーでのみ披露された3サビ後のアレンジは必見。原曲にはない歌唱とともに、バンド全体のテンションが力強く上昇していく様子を堪能することができます。「光の射す方へ」を原曲でしか知らない方はぜひこちらを見てほしいです。

DOME TOUR 2009

~SUPERMARKET FANTASY~ IN TOKYO DOME

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「365日」

世界の人口や貧困、宗教の数といった統計的な数字が次々とスクリーンに映し出された後、最後に「人々が一年間で愛し合える日数」と表示され、この曲が始まります。地球規模の問題と身近な人を愛することが実はつながっていることを彼らのライブはいつも教えてくれます。

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STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-

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「終わりなき旅」

ライブで演奏されるたび成熟していった超名曲。このツアーからは過度な演出が抑えられ、バンドの肉体性をそのまま伝えるようなシンプルかつ力強い演奏に。3.11を経て、音楽にできることは何なのかを悩み続けた彼らが鳴らす生の音は、幾度となく演奏された「終わりなき旅」の中でも輝いています。

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TOUR POPSAURUS 2012

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「エソラ」

「エソラ」は彼らとオーディエンスをひとつにする大切な楽曲としてライブで歌われ続けてきましたが、このツアーの演出が僕にとってベスト。デビュー日から20周年までの日付をカウントダウンしていく映像とともにライブアレンジのイントロが鳴り響き、桜井さんの咆哮から始まるオープニングに泣きました。

wonederful world on DEC 21

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「LOVEはじめました」

大衆や社会への怒りをそのままぶつけるようなパフォーマンスはミスチル初心者にはまだ見てほしくないような気もするし、見せて谷底に突き落としてみたい気もする。桜井さんが病気で倒れ、復活を遂げた一夜限りのライブ映像という意味でも貴重な映像作品です。

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TOUR 2015 REFLECTION

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「fantasy」

このツアーでは、まだ発売されていないアルバムの曲をライブで先に披露して、ツアー最終日にアルバム発売、という異例のスタイルがとられました。1曲目「fantasy」のサビまで濃いスモークでメンバーが見えず、サビで突然スモークが晴れてメンバー登場、という演出に震えました。

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DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25

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「1999年、夏、沖縄」

25周年ツアーのアレンジは彼らの歴史を語る上で外せなくなりました。曲中に25年を振り返るMCが入り、「きっとまたあの街でも歌いたい ああ そして君にこの歌を聞かせたい」と歌う。まだ歩み続けてくれる、未来を見せてくれる予感がして、その温かさに涙腺が緩みました。

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※この記事はPen 2022年7月号「Mr.Children、永遠に響く歌」特集より再編集した記事です。