屋内なのに滝⁉ 乗り継ぎでも訪れたい空港直結の“不思議なショッピングモール”

  • 文:黄文
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JEWEL CHANGI AIRPORTの室内庭園の様子。VisitSingapore.com.(https://www.visitsingapore.com/travel-guide-tips/travelling-to-singapore/changi-airport-singapore/jewel-changi-airport/)

世界の空港ランキングで、常に上位にランクインするシンガポール・チャンギ空港。コロナ禍で各国が入国規制を始めた2019年に空港直結のショッピングモールがオープンしたが、これがただのショッピングモールではない。驚きのアイデアがつまった“JEWEL CHANGI AIRPORT”をご紹介しよう。

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マリーナベイ・サンズと同じ建築チームが手がけた

JEWEL CHANGI AIRPORTは、2019年にオープンしたシンガポールチャンギ空港のターミナル1直結のショッピングモールであり、シンガポールで最大級の室内庭園がある。建築は、マリーナベイ・サンズを手がけたモシェ・サフディ氏の建築チームによるもので、地下4階・地上5階から成る。その名の通り楕円形の宝石のような外観をしており、Building of the Year 2020にも選出された。

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動画で見る空中庭園の様子

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世界一高さのある“屋内滝”の機能

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JEWEL CHANGI AIRPORTの中心部には、屋内滝「HSBC RAIN VORTEX」が配置されている。この屋内滝は、屋上から集められた雨水にシンガポール独自の浄化・リサイクル技術によって生み出された再生水を加えた水が、屋上中心部のくぼみから放たれて循環しているものだ。40mの高さがあり、屋内の滝としては世界一の高さだそう。見た目にインパクトがあるだけではなく、施設内に存在する庭園の灌漑システムとしての機能と、常に水を循環させることにより室内温度を下げる役割も果たしているという。

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森林浴もできるショッピングモール

JEWEL CHANGI AIRPORT中心部の滝を取り囲むように、4階層にびっしりと900以上の樹木やヤシ、約6万本の植物が植えられたSHISEIDO FOREST VALLEYもショッピングモールとは思えない規模の庭園だ。建築デザインの際には、「庭園都市・シンガポール」が意識されたそう。屋内滝とあわせて20~21時の時間帯はデジタルアート集団、チームラボによる光と音のショーも開催されている。

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ドーム型のガラスにも秘密が?

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屋上を覆うガラスにも秘密がある。ドーム型の特徴的なファサードは一見普通のガラス素材に見えるが、3層構造のガラスパネルになっており、建物外から届く熱を減らすことができるという。また、優れた防音技術によりすぐそばで離着陸する飛行機の音はまったく聞こえないそう。さらに外側から見る際に、光を反射して空港管制塔の業務を妨害しないように考慮されたデザインとなっている。

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サステナイブルなアイデアも満載

JEWEL CHANGI AIRPORT内の空調設備にも工夫がある。建物全体を上部からエアコンで冷やすのではなく、各所に設置されているベンチから涼しい空気が供給され、建物のドーム型の構造や熱を通しにくい天井ガラスといった工夫もあり、よりエネルギー効率の優れた空調を実現しているという。

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各所に設置されている木のベンチ。通気口からは涼しい空気がでてくる。

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また、最上階にある遊歩道「Topiary Walk」に設置されている動物たちは、ココナッツ殻や花などシンガポールで採れる自然の素材で作られている。施設内にあるベンチの中には、チャンギ空港旧ターミナルの屋外駐車場に生えていた木を使用したものもあるそうだ。

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2019年のオープンということもあり、コロナ禍の海外旅行規制で海外から訪れるのが難しかったが、2022年になりようやく規制緩和の動きが加速している。シンガポール旅行や乗り換えでシンガポールチャンギ空港を利用する機会があれば、JEWEL CHANGI AIRPORTを訪れて自然と都市とが共存する不思議なショッピングモールを体感してみてほしい。