写真家、三部正博と「紙と紙にまつわること」をテーマに活動するパピエラボが、東京・高田馬場にあるケーススタディスタジオ、BaBaBa(バババ)で、コラボ展示『PRINT MATTERS』を5月31日まで開催中だ。
『PRINT MATTERS』は、三部が撮りためているランドスケープの写真を素材として、パピエラボが印刷物をデザインし、制作するプロジェクト。日本国内で撮影されたランドスケープの連作を通して三部が捉えようとするのは、自然の中に垣間見える人為の跡や去った人間たちの残像など、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさだ。
本展では、さまざまな印刷技術の特徴を踏まえて適した写真を厳選し、発表する作品が制作された。三部はパピエラボが自身の写真を印刷物に転換する過程で、単色での表現や紙の選択など、撮影者の意図しない要素が加わることで現像処理によって印画として可視化されるものに、写真とは異なるあり方が可能になることに興味があると言う。
このプロジェクトは、印刷のプロセスを経ることで、写真の見え方や在り様が変わる可能性、写真を素材にすることで印刷技術の潜在力を引き出せる可能性について考察することを目的としている。三部とパピエラボの往来がもたらす展示は、写真と印刷物に対する新たな可能性に気づかせてくれるはずだ。
1/2