子どもの頃にウルトラマンと怪獣に出合って受けた衝撃が忘れられない――。そんなファンの声を代表して、デザイナーとして活躍するミハラヤスヒロさんにその想いを語ってもらった。
幼少時代から愛を注ぐ、デザイナーにとっての「怪獣らしさ」とは?
「ウルトラマン対怪獣より、獣同士の対決に燃える。ギョォォンや、ンギャァァと奇声を上げ戦う姿がたまりません!」と、自前の怪獣フィギュアを前に目を輝かせるデザイナーのミハラヤスヒロさん。
ミハラさんが考える怪獣の魅力は、その「らしさ」にあるという。
「角や牙、巨大な尻尾などの造形以上に、人が入る故のぬいぐるみ感であり、それは人間らしさでもある。CGにはないその“怪獣らしさ”にグッとくるのです」
ミハラさんは、そんな怪獣やウルトラマンをデザインした、故・成田亨を尊敬してやまない。
「成田さんのデザインには、真剣さと熱量が伝わってくる。同じものづくりの人間として、胸が熱くなるしスイッチが入ります」
ちなみに、ミハラさんのいちばんのお気に入り怪獣は、丸い形状が可愛らしいタッコングだ。
「タコがモチーフなのに、その要素が8本の脚でなく吸盤だけというセンスに脱帽です(笑)」
加えて怪獣に欠かせない要素として挙げるのが登場シーンだ。
「いかに格好よく登場し驚かせてくれるのか。最も驚かされたのは、空をバキバキと割って現れたバキシム。想像を超えた登場に度肝を抜かれシビレました!」
いまなお、子ども時代からの怪獣愛を貫くミハラさん。怪獣フュギュアも、持っていないものを見つけると「手が伸びる」と笑う。
「怪獣は超越した存在。大人になって熱が冷めるどころか、逆に知りたい欲求が増しています」
ミハラヤスヒロ
デザイナー。1972年、福岡県出身。大学時代より独学で靴づくりを始め、96年に自身のレーベル「MIHARA YASUHIRO」を立ち上げる。99年の東京コレクションでウエアラインを発表している。2020年春夏よりコレクションを「Maison MIHARA YASUHIRO」に統一する。
※この記事はPen 2022年6月号「ウルトラマンを見よ」特集より再編集した記事です。