日本酒でいう「ヴィンテージ」には、熟成酒や古酒と呼ばれるお酒はたくさんありますが、まだまだ馴染みがないのが現状です。その背景には、フレッシュな日本酒が市場にあふれていることから、熟成酒とは実は売れ残っただけのお酒で美味しくないんじゃないか?という疑問や、どうやって熟成酒を飲めばいいかが分からないことが理由にあげられます。
実際に美味しい熟成酒を飲んでみると、バニラ、チョコレート、アーモンド、蜂蜜、ドライフルーツのようなテイストのものがあり、フレッシュなお酒にはない、時間の経過がもたらした奥深い複雑な味わいに魅了されます。この複雑な味わいは、和食だけでなく、イタリアンやフレンチ、中華などとのペアリングにも生かされます。
それでは、日本酒の熟成とはどういった過程を経ているのでしょうか?まず、熟成によるお酒の色合いや香り、味わいの変化は、メイラード反応によるものです。メイラード反応とはアミノ酸などのアミノ化合物と還元糖が反応して褐色色素(メラノイジン)を生じる反応です。
私たちの身近にある例で言うと、玉ねぎを炒めると辛かったものが茶色く変色し、甘くなるのと同じ反応です。それが日本酒の熟成酒で起きているのです。熟成する温度や条件下で様々に変化していくので、蔵ごと、お店ごとのオリジナルの味わいが楽しめます。
ぜひ、熟成酒をみかけたら試してみてください。簡単なペアリングのおすすめは、ドライフルーツ、チョコレート、チーズです。口の中でのハーモニーをお楽しみください。
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おすすめの熟成酒は?
アフス製造販売創業50周年を迎えた、千葉県いすみ市の酒蔵・木戸泉酒造。独自の高温山廃仕込みによるお酒や、古酒を多数保有していることでも知られています。こちらはその木戸泉酒造が保有する最古級の古酒「Afs1974」と、最新作「Afsストレーター2020」をブレンド。更に埼玉県秩父市のベンチャーウイスキーで使用した樽で53日間の熟成を施しています。最古と最新が融合した、時を感じる日本酒。食の多様性にもマッチする複雑さを帯びた味わいを是非ご堪能下さい。
「AFS」とは、木戸泉の代表である独特の酸味が特長の「高温山廃仕込み」、原料の米、米麹を一度に全て入れて仕込む「一段仕込み」という製法で仕込んだお酒。濃厚で白ワインのように豊潤な酸味と、日本酒本来の上品な甘味を併せ持っており、和食のみならず洋食を始めとした多様な食事にマッチする、食欲をそそるお酒です。
お酒の設計は日本酒バー「GEM by moto」の千葉麻里絵氏、ラベルデザインはクリエイティブレーベル「PERIMETRON」のプロデューサーでありデザイナーの佐々木集氏と共に作り上げたという今作品。お酒を包む包装紙には木戸泉の歴代のラベルをモノトーンで印刷した新聞更紙を使用し、瓶の上からコルク部分のみ見える形で包まれています。
またコルクは京都の染め職人がおこなう京黒染めで黒に染色したものを瓶栓後に上から黒に染色した麻紐で縛り、パッケージ全体を通して 『時間の継承と封印』 を感じさせるものに。限定395本生産、とってもプレミアムな1本をぜひお見逃しなく。
https://www.imaday.jp/c/nihonsyu/gd6208
<千葉麻里絵コメント>
木戸泉の過去から今、未来への酒造りを解釈し、新しい表現をしました。鼻の奥がくすぐったくなるような、燻製したモンブランの香りが広がります。
濃厚な蜜ののような甘さの豊かな余韻…。静と動が混在する味わいのコントラストが儚くも心を落ち着かせてくれます。熟成という時間の力、ブレンド、樽、歴史、人、たくさんのものが奇跡的に重なってお酒が誕生してるということに感謝を込めて。ペアリングとしては、フォアグラ、ラム肉、ハード系チーズなどとよく合います。