“育てる”男の趣味、乾燥地帯で生きる観葉植物のレアモノを探すなら阪急メンズ東京に急げ!

  • 写真・文:高橋一史
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男の趣味は、探求の世界。
自転車のパーツをカスタマイズしたり、オーディオでスピーカーを鳴らし続けまろやかに変化した音(エイジング)を楽しんだり。
昔のラジオ番組で伊集院光が「デブキャラのフィギュアを集めている」と語ってましたが、テーマを定めてコレクションを完成させるのも男性的な発想。
ルアーを取り替えて狙った魚をゲットする釣り、豆の分量から湯の温度や抽出時間まで厳密にメーターで測るコーヒー道、どれも異なるジャンルでありつつマニアックな追求心から成り立っている点で共通しています。

その男の趣味のひとつに現在、特殊な環境下で生息する多肉植物「根塊植物(コーデックス)」があることを肌で実感する機会がありました。
ペットのように大切に育てる生命。
アフリカ、メキシコなどから輸入され、現地の風土と強く結びつく希少価値のある植物。
部屋を緑で飾るガーデニングとも異なる、コレクター魂を刺激する存在です。

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ショップ初日のラインナップ。売れたらなくなります。

訪れたのは、2022年5月11日(水)〜17日(火)まで有楽町・阪急メンズ東京1階で開催されている、プランツショップ「RAFLUM(ラフラム)」のポップアップショップの初日。
ご自身もコーデックス好きなファッションPRさんから情報をいただき見に行きました。

平日昼間ながらひっきりなしに大人男性がやってきては目をキラキラ……いやギラギラさせ、食い入るように鉢植えを見つめる光景に、ド素人のわたしは思わず緊張気味。
しかしRAFLUM代表の小寺信仁さんにお会いしてコーデックスにまつわるエピソードや魅力を伺ううちに、グッと親しみを感じてきました。


根塊植物好きには、メキシコ産の「アガベ」(葉が密集して開いた多肉植物)やマダガスカル産「パキポディウム」(球根のように丸く太った幹が特徴)などを専門に集める人が多いらしく。
ファッションでいうなら、色落ちと形がわずかに異なる古着のリーバイス501を次々に購入するようなものでしょう。
希少性が高く美しいとされるものに高値がつく点も、デニムやスニーカーと似てますね。

RAFLUMがこのポップアップショップで扱うのは小さな鉢植えで¥30,000ほどからで、¥400,000のものも。
良い品だけにかなり高価です。
それでも次々に売れていく。
コーデックス初体験なわたしごときでは価格の妥当性を判断できませんが、人気度や採取する現地の情勢でも変わってくるそうです。
輸入禁止となれば、高騰する植物もあるとか。


ご興味ある人はスタッフと話すため訪れる客も多いらしい同ポップアップショップに行ってみましょう。
RAFLUMの原宿店は予約制ですから敷居が高くても、百貨店のここなら気軽に見られます!

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この種類「パキポディウム・グラキリス」は、理想に近いとされる丸々とした茎。球体に近いほど価値があるそう。¥198,000(税込)。

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根塊植物市場でいま大人気のアガベ。

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自分で育てるアガベ。親株からわかれた子株。お手頃価格で¥3,000〜10,000ほど。良質な親から採取した子株は価格が高いようです。ある程度の大きさに育てるには5年ほど掛かるそう。

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輸入された状態のアガベ。たっぷりと水分を含んでいるので生き続けられるそう。鉢に水はけのいい土を入れ、根を定着させるのが育てる第一歩。その作業を自分で行える人に向けて販売されてます。

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コーデックスを飾るのは鉢選びが重要で、新しいものに植え替えるのがファンの楽しみのひとつ。ただし暑い地域に生息する植物なため植え替えは春夏に限られるとのこと。ダメージを与えないように年一でしか交換できないようです。

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ひとたび好きになると、形状違いで次々に購入したくなるのがファン心理だそう。

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代表の小寺さんが「数百万円出されても手放しません!」とかわいがっている逸品(非売品)。輸入禁止になった希少品とのこと。ポップアップショップを訪れたお客さんに見ていただきたくて特別に運んだそう。

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コーデックスが“西洋版盆栽”だとよくわかる品。盆栽のように針金で人工的に造形をつくりあげることはしないものの、このタイプだと枝先を切る剪定(=せんてい)は行われるそう。

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茎も盆栽のようにえぐれた“寂び”の味わい。このような造形のコーデックスは珍しいようです。

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愛する根塊植物に作家モノの器(鉢)を奢るのが大人ファンの楽しみ。このポップアップショップでは、底に水穴が開けられた小型の鉢が多種類販売されてます。

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お隣がルミネ有楽町の、阪急メンズ東京1階入り口すぐ横のポップアップスペースにて開催中。

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RAFLUMのポップアップショップには個性派男性が続々とやってきます。

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原宿店の店長をはじめスタッフが揃いのTシャツ姿で店頭に。話を聞きに行くだけでも覗く価値あり。

育てるコツは、決して与えすぎない水やりと、たっぷりの太陽光だそう。
土の栄養はさほど問題なし。
日当たりが悪い環境の人は、植物用LEDライトで補完。
多くの植物は湿気が大敵で(逆に必要な種類もあるようですが)、多湿で四季の温度変化も大きい日本の気候に配慮した育て方をするのがいいようです。
うまく育てると年イチで花が咲いたり、長く付き合うのがコーデックスの世界なんですね。

ファン同士のコミュニティも形成されているようです。
RAFLUMは専門店として、客が弱らせた植物を預かり元気にしてから戻すアフターケアも行っているそう。
「高価な品ですから購入していただいた方へのケアは大切です」
と小寺さん。
詳しい人やお金持ちばかりが優遇される印象はなく、初心者大歓迎のムードなポップアップショップ。
根塊植物好きが顔から溢れてる小寺さんが最後に言った、
「ハマってください!」
の一言に、「趣味人っていい人生だなあ」と思いつつ帰路についたイベント訪問でした。

All Photos©KAZUSHI

RAFLUM
www.instagram.com/raflum.tokyo/

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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