「広さ充分」「スペースたっぷり」と思える家に住んでいる人は少ないだろう。特に都会に暮らし、または集合住宅に暮らしている人は、「手狭」「もうちょっと広かったら」とスペースの面で何らかの不満を抱えつつ、何とか折り合いを付けつつ暮らしているはずだ。
断捨離がブームを超えて定着したことからも、「狭いスペースで心地よく暮らす方法」は多くの人が興味をもっていること。「Never too small」は、世界中の小さな住居を撮影し、限られたスペースを最大限に活かしたインテリアを紹介すYouTubeチャンネルだ。ローンチから5年、206万人の登録者を誇る人気チャンネルとして知られている。
今回は「Never too small」から工夫が詰まった「小さな家」10選を紹介。世界各地の「狭い家」そして「狭いスペースを“広く”使う方法」は見ているだけで楽しく、加えて「これって我が家でも使えるかも!?」のヒントが隠れているかもしれない。
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1.壁一面の棚がインテリアのアクセントに(ロンドン、イギリス)
大きなマーケットのある街として知られる「カムデン・タウン」にあるアパートメント。ファミリー用の大きな家を10年前に3分割した最上階にあり、分譲時は40㎡のオープンスペース(一間のみ)の物件だった。しかし室内にロフトを設けたことで、住居空間を54㎡まで広げることに成功している。階段の壁をすべて棚にし、インテリアのアクセントになっているのも見事だ。
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2.段差を設け、1部屋が「3部屋」に変身(アムステルダム、オランダ)
45㎡の1ルームアパートメント。リビングに段差を設け、洗濯機スペースの上を寝室にしたことで、1部屋が3つのスペースに分割されている。入口を入った左手はすべて戸棚なので、収納もたっぷり。階段下の“空洞”部分は、部屋のアクセントであるとともに、リビングエリアに広さを生んでいる。
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3.クリエイティブなカップルが生み出した光あふれる家(バルセロナ、スペイン)
バルセロナの閑静な住宅街にある、クラシカルなアパートメントの最上階にクリエイティブディレクターと家具デザイナーのカップルの家がある。リビングの壁はほぼすべてビルトイン(造り付け)家具を埋め込んだことで、スペースを無駄なく使えている。注目は寝室のシャワーエリア。ドアを設けないシャワーは、湿度の高い日本には向かないものの、乾燥地域では良く見られる。シャワーの上にある天からの光をシャワーだけでなく寝室にも取り込めるのもポイントだ。増築したガラス壁のテラスは小さいものの、3面の窓から注がれる光は、家全体を明るい印象に変えている。
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4.半地下の倉庫が心地よい住まいに(アテネ、ギリシャ)
元々は半地下にある倉庫だった場所を、廃材のリサイクル素材を使って改修した物件。壁の代わりに本棚や引き戸をつけ、1つのスペースでありながら、仕切りもあるようにデザインした。カーテンを上手く使用しているのもポイント。差し色となり、インテリアのアクセントになっている。
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5.収納スペースたっぷりの小さなアパート(キーウ、ウクライナ)
32㎡の小さなアパートだが、ロフト仕様にすることなく広さを引き出す工夫に溢れている。例えばリビングに設置されたテーブルは、キッチンとの区切りの役割を果たすだけでなく、仕事机としても利用可能。テーブル1つで済むよう、大きさや高さも工夫されている。カスタムメイドのベッドの下はたっぷり入る引き出しが。寝室にはカーテンで仕切った収納スペースがあり、本棚、洋服箪笥、クローゼットまで「隠せる」収納がたっぷり。黄色とベビーピンクが柔らかな印象を与えているのも印象的だ。
※この動画はロシアによるウクライナ侵攻の開始12日前に撮影された。動画にはモダンで美しいキーウの街並みが見られる。
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6.小さな一室に建てられたツリーハウス(香港)
香港・摩天楼にある高層マンションにある一室。購入時は1DKだったが、壁を取り払いオープンスペースのスタジオにし、「ツリーハウス(ロフト)」を増設した。ツリーハウス部分を黄色にしたのは、真鍮加工のキッチンと合わせたため。通常、狭い家の場合、壁は白など明るい色にすることが多いが、あえて暗めの青を選択し、窓から見える自然の風景を引き立たせている。まるで窓が一枚のキャンパスのように美しく映える。
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7.トイレ以外にドアなし、大自然にある一軒家(ミルロイ、オーストラリア)
農場の中にある三角屋根系の一軒家。40㎡を最大限に活かすために、室内ドアをすべて排除した造りになっている。住居用ではなく民泊用に設計された家だが、一人暮らしの家に採用できるアイデアがたくさん詰まっている。バスエリアに大きな窓があるが、ブラインドを下ろすことでプライバシーは確保できる。田舎暮らしやIターンが流行る中、大自然を楽しめるこんなモダンな「ポツンと一軒家」は魅力的だ。
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8.寝室と収納が「壁の中」に!(メルボルン、オーストラリア)
入居時は収納がほぼなかった23㎡の小さなアパートだったが、壁一面に棚とクローゼット、そして折り畳み式のベッドをビルトイン。ごく薄いスペースに大量のモノを詰めることに成功している。カーテンを引けば静かな空間になり、またカーテンを一部だけあければ本棚だけが出現する。カーテンは壁2面にレールが引かれているため、夜は窓部分に移動できるのも面白い仕組みだ。
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9.パイン材が心地よい空間を演出(パリ、フランス)
購入時はバストイレもない1DKアパートだったが、まずすべての壁を壊すところから改修工事を始めた。ロフト部分の下にバストイレと収納を作り、壁はすべて本棚に。広いダイニングキッチンには、天窓から明るい光が降り注ぐ。ビルトイン家具をすべてパイン材でまとめ、木製の窓枠、天井に梁をつけたことで木のぬくもりが際立っている。ロフト上の寝室部分の天井にも天窓があるので、星空を眺めながら眠りにつける、ご褒美つきの小さなアパートだ。
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10.日本の「障子」にインスパイアされた29㎡のアパート(ロンドン、イギリス)
ポリカーボネート板で作った「障子風」の引き戸を家のポイントにしているのがこのアパート。元々は狭いリビング+1寝室のアパートだったが、高い天井を活用し、寝室はロフトに移動。寝室の下の部分は全て収納スペースにしたため、たった29㎡の家に“ウォークイン”できる贅沢な収納部屋が実現した。障子風引き戸は昼間は明るさを反射し、夜は寝室部分の明かりを透けて映し出すので雰囲気作りにも貢献している。