昨年に第一子を出産し、母となって『シン・ウルトラマン』の劇場公開を迎えた早見あかりさん。どのように撮影に臨んだのか、そして作品の魅力はなんなのか。当時を振り返りながら、胸の内を語ってもらった。
“いま”を捉えた現実感のある描写や、考察好きに刺さる要素がたくさん
6年前、映画館で『シン・ゴジラ』を観た際の衝撃を鮮明に覚えているという早見あかりさん。
「カメラワークや膨大なセリフ、リアルにこんなことが起きるんじゃないかという緊迫感。いままで観たことない!と興奮しました」
製作陣の「攻める姿勢」の虜になった早見さん。それ故に『シン・ウルトラマン』への出演が決まった時の感情は複雑だった。
「ひとりで台本に向き合っている期間は『自分は力量不足では?』と不安でした。ただ、いざ現場に入るとみなさんが本当に温かく、自分自身も演じていて気持ちよかった。撮影初日は禍特対が災害現場に到着するシーンでしたが、大人数のエキストラとスタッフ、カメラの台数を目の当たりにして『この世界に入ったんだ』と驚きつつ、一気に楽しくなりました」
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CGでこんなことできるの?という驚きの連続
本番で見事に吹っ切れたのは、入念な準備あってこそだろう。
「人生で初めて目にした難読漢字の読み方を調べるところから始めて、意味を自分の中に落とし込む作業に時間を費やしました。私はもともと早口ですが、今回は役のイメージに合わせてさらにスピードを上げています。そのためには言葉の意味がわかっていて当然、という状況をつくらないと説得力に欠けますし、伝わらない。演じるにあたり、注意したことです」
製作方針でキャストに絵コンテは共有されなかったという。
「編集段階の映像を見ましたが、いまってCGでこんなことできるの?という驚きの連続でした。撮影時の答え合わせができた感じ」と興奮を語る。印象的だったのは、禍威獣を前にした人々が臆することなくケータイを向ける描写だ。
「非常にいまっぽい表現だと思うし、これが『シン・ウルトラマン』の魅力だと感じます。ウルトラマンにさほど詳しくない知人からも『いつ公開するの?』と聞かれ、その熱量がとても高い! それはいまを捉えた現実感や考察好きに刺さる要素もあるからだと思いますが、劇場でそれを感じてほしいです」
早見あかり
1995年、東京都生まれ。おもな出演作に、映画『百瀬、こっちを向いて。』、テレビドラマ「ラーメン大好き小泉さん」など。『夢の劇─ドリーム・プレイ─』や『パ・ラパパンパン』など、舞台での活躍も注目されている。
※この記事はPen 2022年6月号「ウルトラマンを見よ」特集より再編集した記事です。