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片桐仁が生み出したウルトラマン怪獣!? 怪しさと可愛らしさが同居する、作品の原点とは

  • 写真:大河内 禎
  • 文:高野智宏 
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「土偶と同じく、ウルトラ怪獣には粘土の質感を感じる」と、怪獣に親しむ理由を語る片桐さん。

現在発売中のPen 6月号『ウルトラマンを見よ』特集から、映画『シン・ウルトラマン』の公開を記念して一部を抜粋してお届け。子どもの頃にウルトラマンと怪獣に出合って受けた衝撃が忘れられない――。そんなファンの声を代表して、お笑いタレントで俳優としても活躍する片桐仁さんにその想いを語ってもらった。

怪獣に惹かれる理由は、クリーチャーに通じる怪しさと可愛らしさ

近年、俳優活動が目覚ましいお笑い芸人の片桐仁さんには、別の顔も。雑誌連載や全国で個展も開催するプロ造型師としての顔だ。

「画家を目指して美大に入ったのですが、彫刻の課題が楽しくて粘土細工を始めました。当時から海洋堂が主催するガレージキットのイベントに出品しましたが、まったく売れませんでした(笑)」

片桐さんの作品の多くは、怖さ以上に奇妙や怪しさ、そして時に可愛らしさなど、どこかウルトラ怪獣との共通点を感じるのだ。

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クール星人に冷感スプレーのシャツクールを内蔵したオリジナル怪獣は、その名も「シャツクール星人」。扇風機も作動する!

「昔から鬼や天狗などの妖怪やクリーチャーが大好きで、考えてみれば怪獣もその一種。作品にも影響を受けているでしょうね」

怪獣への愛着は映像以前に立体のフィギュアで育まれたという。

「幼稚園の時にお菓子の懸賞に応募して当たったのが、キングジョーのキーホルダー。セブンが欲しかったから最初は『ちっ!』って思ったのですが、いつしかいちばん好きな怪獣に。再放送でウルトラマンシリーズに親しんだ僕にとって、映像よりも先にフィギュアで遊ぶことが多かったですね」

そんな最愛の怪獣と、お気に入りだという土偶を合体させたのが、造形に色彩、そして名前も秀逸な「キングジョーモン」だ。

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キングジョーとみみずく土偶が合体した「キングジョーモン」。用途はなんとフリスクケース!

「セブンとキングジョーが神戸港で戦ったことから、神戸のご当地モンスターに(笑)。いつか本物の怪獣もつくってみたいですね」

片桐さん考案のウルトラ怪獣がテレビやスクリーンで暴れる姿、これは是非とも観てみたい!

片桐 仁 

お笑いタレント・俳優。1973年、埼玉県生まれ。多摩美術大学時代にラーメンズを結成、カルト的な人気を博す。近年は俳優活動が中心となり、話題の作品に多く出演する。99年より雑誌で粘土作品を発表。昨年には個展『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』を東京ドームシティで開催した。

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※この記事はPen 2022年6月号「ウルトラマンを見よ」特集より再編集した記事です。