初夏は、ビールの原材料であるホップが上へ上へとつるを伸ばしながら成長していく躍動の時期。木々の緑や空の青さが日に日に濃くなり、時折夏を思わせる日差しを感じ始めるこの季節に味わいたいビールを紹介しよう。
1.希少な国産ホップを使った、繊細な香りと甘みを味わいたい
まずは、ヤッホーブルーイングの「山の上ニューイ」。山梨県北杜市のホップ農家「北杜ホップス」で栽培された国産ホップ「信州早生(わせ)」と「かいこがね」を使ったビールだ。穏やかなホップの香りとやわらかな口当たり、じんわり感じる甘みの後にくる苦味が印象的。ローストビーフとクレソンのサンドイッチをおともに、山の上ニューイを連れて高原へピクニックに行きたくなる。
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2.サワーやワイルドエールを専門にする、北欧のブルワリーが世に送る自信作
トレッキング後の一杯としてぜひお薦めしたいのが、ブレケリエットの「サワー&ソルト」だ。その名の通りやわらかな酸味とミネラルを感じさせるビールで、口の中で広がるコリアンダーの香りがとても印象的。心地よく火照った身体を癒やしてくれるに違いない。
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3.“名古屋メシ”と相性抜群な、さっぱり飲めるミディアムボディ
ワイマーケット ブルーイングの「パープルスカイペールエール」は、ホップの青々しさを思わせるアメリカンホップ「シトラ」の香りが特徴的なペールエール。苦味は控えめで、ビールが口の中を滑り落ちた後に感じる、甘みの引き際がクリアで清々しい。キャンプなどで、気の合う仲間と乾杯して楽しむシーンがよく似合う。
いずれも木々の緑を眺め、爽やかな風を受けながら大自然の中で楽しみたいビールだ。
今月の選酒人●野田幾子
ビアジャーナリスト。雑誌『ビール王国』に寄稿する他、ビール講座やイベントを多数開催。ビールと料理のペアリングの楽しさを広めている。著・監修に『ビールのペアリングがよくわかる本』や『恋するクラフトビール』など。
※この記事はPen 2022年6月号より再編集した記事です。