スウェーデンのテクノロジー&デザインのスタートアップである「スティルライド(Stilride)」が、「工業用折り紙(Industrial ORIGAMI)」の手法を用いた電動スクーター「SUS1(スポーツ・ユーティリティ・スクーター・ワン)」を開発した。
同社による最初の商品となるSUS1は、一枚のステンレス鋼板をロボットが「折りたたむ」ことにより「複雑で軽量、そして耐久性のある新しい構造」を実現している。
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インスピレーションは日本の「折り紙」
スティルライド社はデザインとエンジニアリングのバックグラウンドを持つトゥエ・ベイヤー(創業者&工業デザイナー)と、友人であるジョナス・リンドベルグ・ニヴァン(共同創業者&CEO)により2019年に設立された。
Design Weekの取材に対し、ベイヤーは「スティルライドのコンセプトが生まれたのはたった3年前のことです」と語っている。
とあるディナーパーティーで、ベイヤーとニヴァンが「(2人とも好きな)クラシックなベスパやイタリアのモーターサイクルをベースに、自然と調和できる(デザインの)電動バイクを作れないか?」と話したことがきっかけだった。「2人で日本を旅したことがあり、日本の文化や折り紙にインスピレーションを受けました。そこで折り紙でSUS1の最初のプロトタイプを作ってみました」
この折り紙のプロトタイプから、2人が目指すシンプルな美しさ、そして耐久性を兼ね備えた電動バイクの開発がスタートした。
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サステナブルな製造工程①
鋼板を「折りたたむ」技術で材料・部品数を削減
通常のスクーターは、パイプ状のフレームと樹脂製のボディで構成されている。しかしSUS1の場合、「スティルフォールド(Stilfold)」と呼ばれる技術を採用し、一枚のステンレス鋼板をロボットが「折りたたむ」ことでシャーシとボディが形成される。
サステナブルな製造工程②
製造工程の合理化
またSUS1は、製造工程が合理化されているため、国や場所を選ばずに製造できるプロセスも構築した。
スティルライド社は標準的なロボットアーム用のソフトウェアと特殊なアタッチメントを開発した。まずスウェーデンからステンレス鋼板をフラット梱包で欧州各国のメーカーや鉄工所に送る。そこから先はレーザーカッターやロボットアームを所有している工場に同社のソフトとアタッチメントを導入することで、すぐにSUS1の製造を始められる。
現地で「折りたたんで」製造したシャーシとボディに、現地国で製造されたハブモーターとバッテリーパックを取り付けることで組み立てが完了する。プロセスの大部分を国内製造することができるので、輸送プロセスを最小限に抑えられる。
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マス向けの製品も計画中
2人のミッションである「世界一魅力的でサステナブルなスクーター」が市場に出回る日は目前だが、Dezeenの取材によると、今後、カーゴバイクやトレーラー等、マスマーケット向けの製品の開発も検討中とのこと。
美しいデザインとサステイナブルの共存は、トレンドを超え、今後製造業の分野での「王道」となるはずだ。
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「工業用折り紙」の秘密が見える動画はこちらから