モルトウイスキーとグレーンウイスキーに加え、大麦麦芽と未発芽大麦を原料にポットスチルで蒸留する、ポットスチルウイスキーを伝統的につくってきたアイリッシュウイスキー。軽やかな飲み口を生む3回蒸留の伝統をもつのもその特徴だ。シングルモルトやシングルポットスチルなどのリリースもあるが、多くはそれらをブレンドしたブレンデッドウイスキーとしてボトリングされる。飲み方を選ばないうえ、独特の軽やかさは春にぴったり。そんなアイリッシュブレンデッドのなかから、春にお薦めの3本を紹介しよう。
1.トロピカルフルーツが香る、アイリッシュらしさが詰まった一本
「バスカー」は、モルトとグレーン、ポットスチルという3種のウイスキーをブレンド。マルサラワイン樽での熟成に由来するふくよかな甘さやトロピカルフルーツが心地よく香る、アイリッシュの魅力が詰まった一本だ。
---fadeinPager---
2.独特の軽やかさとともに広がる、甘い香りと心地よい樽感
多くの文豪を生むアイルランドらしいネーミングの「ライターズティアーズ」は、モルトとポットスチルウイスキーのみのブレンド。リンゴや蜂蜜のような香り、ほのかなスパイスやダークチョコのような味わいに加え、3回蒸留ならではの軽やかさも楽しめる。
---fadeinPager---
3.ミルクコーヒー? チョコレート? スイートな香味をお試しあれ
最後の「ジェムソン スタウト エディション」は、「とはいえ春はビールでしょ」という人にお薦めだ。こちらは通常のジェムソンの仕上げ熟成に、アイリッシュスタウトという黒ビールを熟成させた後の樽を使用。甘いミルクコーヒーのような味わいを、まずはストレートで楽しんでほしい。
今月の選酒人●西田嘉孝
ウイスキーライター。ウイスキー専門誌『Whisky Galore』や『Pen』などのライフスタイル誌、ウェブメディアなどで執筆。2019年からスタートしたTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)では審査員も務める。
※この記事はPen 2022年5月号より再編集した記事です。