機内で自分のスマホが使える! ある国際線専用LCC航空会社の挑戦

  • 文:野呂エイシロウ
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この原稿を書いている2022年の3月下旬現在、筆者が住む東京では、まんぼう(蔓延防止)が解除。先日3年ぶりに航空機に乗る機会を得た。時が経つのは早いなあと実感である。

やはり、飛行機での移動は楽しい。新幹線での移動とはちょっと違う雰囲気がある。ちなみに筆者はできる限り座席番号1Aに乗る。というのも席を選ぶ時間がもったいないから。乗り降りの時間が短くて済むということである。どの席よりも一番早く降りられるので超便利だ。

今回は、大分、新千歳という路線だったので乗る機会に恵まれなかったが、注目している企業がある。それはZIPAIRである。筆者は、ZIPAIRの制服に関する会見などをみて、自由度の高い企業だなと勝手に思っていた。ナショナルフラッグとは違うカジュアルさを感じていた。独特のフレンドリー感というか距離感に親近感を持っていた。

この航空会社は、日本航空の100%子会社として2020年から国際線専用LCC(ローコストキャリア)として運行を始めた。韓国、タイ、ハワイのホノルルなどに就航。昨年からは、アメリカのロサンゼルス便まで就航している。

筆者が注目しているのはビジネスクラスのようなFull-Flat座席。しかも成田―ロサンゼルスのFull-Flat座席は片道110,000円~(各種諸税込み)!

「成田=ロサンゼルス線はこれまでフルサービスキャリアのみが運航を担っていたところに対して、当社がLCCモデルの価格設定・サービスを持ち込むことで、お客さまに新たな旅の選択肢を提供しました。運航開始から間もないですが、価格面はもちろんのことお客さまが必要なサービスを選択し購入するLCCのサービスにも一定の評価を頂戴しています」と話すのは、ZIPAIR Tokyoの企画マーケティング部西山雅博氏。

常に価値観が多様化する客のニーズにお応えするため、部門や役職にとらわれず、社員の様々な経験を活かし、スピード感をもってサービスに反映できているという。確かにその様子は、以前見た会見などからも感じられた。

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更にコロナ禍になって、タブレットなどを活用し、非接触を目指しているという。「ZIPAIRは『フライトの体感時間が短くなるLCC』というコンセプトを掲げており、“お客さまに自分らしく自由に機内での時間を過ごしてもらう”ことを目指しております。そこで、地上でできることを上空でも実現できるようにしようと考えた結果、お客さまご自身のタブレットやスマートフォンを使用し、フライトの時間を楽しんでいただけるよう、日本の航空会社の国際線で唯一、インターネットサービスを無料で提供しており、Web閲覧、SNSやメール発信などをフライト中に行うことができます」

なんと、機内でスマホを使用できるという。近年、雑誌などもDマガジンなどでデジタル化が進んでいる。そういった雑誌を読んだり、インスタグラムなどのSNSが使えるのも非常に嬉しいことである。

「更に機内Wi-Fiを通じて、セルフオーダーシステムによる軽食及び機内販売品の注文、エンターテインメントやインターネットサービスを提供することとしました。セルフオーダーシステムはLCCとして初導入したもので、お客さま自身の端末で、軽食及び機内販売をご利用いただけます。商品や在庫状況の確認、注文、決済までの手続きがシステム内で完結しますので、お座席に座ったまま、オンラインショッピングのように軽食や機内販売品をご購入いただけます。注文と決済をご自身の端末で行うことで、コンタクトレスの機内サービスを提供しています。」と西山氏。

これもびっくり。機内販売も自分の端末から注文できるというのが便利。LCCなのでナショナルフラッグと違い、機内での食事も有料である。それを自分の持っているスマホやタブレットから注文できる。これからのシーズン、さらに多くの人が旅行に行くだろうと思われる。事実、筆者は体感として羽田空港が混んでいるなと感じている。

筆者もできれば、もうちょっとしたら海外旅行などにでかけたいと思っている。とはいえ新型コロナ対策も必要だ。「前述のセルフオーダーシステムを活用したコンタクトレスの機内サービスの提供に加え、マスク、除菌シート各1枚が入った「ZIPAIRケアキット」をお客さまへの配布しています。もちろん、客室内の抗ウイルス・抗菌コーティング(抗菌製品技術協議会(SIAA)の定める抗ウイルス・抗菌性能と安全性を確認済み)を実施しています。」

その他、空港係員・客室乗務員のマスク着用やチェックインカウンターへのパーティション設置などを行っているという。いよいよGWシーズン到来である。すでに旅行の準備も始まってきている。

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先にも書いたが、制服なども自由度が高いと思うが、社員などからの反応はどうだろうか?「制服のデザインに、自分らしく仕事のパフォーマンスが最大化されるような工夫を盛り込んでいます。また、「着まわし」をコンセプトに、その日の業務内容・天候・気分や体調などに合わせて、数あるアイテムの中から自由に組み合わせることができると同時に、全体的に統一感があるデザインとしています。組み合わせによって様々なパターンの制服を着用できる点と疲労を軽減させる効果を見込んで導入したスニーカーが好評です」と社員からの評価も高いようだ。自由というのはないよりもあるほうがいい感じがする。今どきのIT企業に通じるカジュアルさをZIPAIRに筆者は感じている。

スニーカーは、パンプスに比べてフットワークが軽い印象と行動力を演出していると思われる。さらに昨年末、株式会社 ZIPAIR Tokyoと株式会社Be-A Japanは、女性活躍推進を目的に業務提携契約を締結した。

https://www.zipair.net/ja/notification/80

一体どういう内容なのだろうか?ベアジャパンの山本未奈子社長に話を聞いた。一体どういう業務提携なのだろうか?「両社による女性活躍推進に向けた情報発信、商品開発・サービス開発に関する相互協力。さらに商品開発に際し、ZIPAIR社員に着用していただきアンケートを実施。フィードバックも受けながら、商品開発・サービス向上に生かしています」と山本氏。

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すでにZIPAIR機内にて免税で販売しているとのこと。実際に、フライト中にお客様が突然生理になってしまい、乗務員に生理用品を依頼されることも多々あるそうで、機内ですぐに販売ができるよう整えているというから便利だ。

単純に販路を広げただけではない。「Be-A Japanの女性活躍推進活動『Girls Be Ambitious Project』における相互協力を行います。現在、子供達に向けたキャリアセミナーを検討中。性別に囚われずさまざまな選択肢の中から、なりたい自分を描いて夢に向かってすすむお手伝いをしたいと考えます。その第一弾では、ZIPAIRさんのパイロット(女性)、客室乗務員(男性・女性)などにお話しを聞きながら職業体験ができるセミナーを計画しております」(山本氏)

ZIPAIRには、CAさんだけではなく、パイロットや整備にも多くの女性がいらっしゃるという。すでにBé-A〈ベア〉のショーツを使ってもらっており好評のようだ。

「長時間のフライトにご着用いただきお役立ていただいています。漏れる心配や取り替えのタイミングで不安になることなく、安心して業務に集中ができていると、ご好評いただいております。また、2021年9月にモニターアンケートを実施。同年12月にZIPAIRにてロサンゼルス便就航開始を予定していたため、長時間のフライトを想定し、実際に客実乗務員の方にご着用いただきました。取り替え不要な吸水ショーツで、長時間のフライトにも安心してお仕事に臨めるよう、サポートしております。着用後のアンケートでは、下記のお言葉をいただいております」

●CAさんからのアンケート内容

・フライト中はサニタリー用品を頻繁に変えることが難しいため、変える必要のない今回のショーツは非常に快適でストレスがなかった。

・サニタリー用品の替えの必要がなく、ゴミの処理も機内で困らなかったのでとても便利だった

・いつ始まるか始まらないか、いつも不安だったが安心して業務できた

・漏れも冷えもなく、快適だった。サニタリー用品の交換の手間がないのが特に良い。

・お手洗いに行く際に替えを持って行かなくてよいのがとても楽だった。

※全て個人の感想をご紹介しています。使用方法を指定・推奨するものではありません

上記の通り、フライト中の長時間の接客業では、ご自身のタイミングでなかなか取り替えることも難しく、かつ航空機内のトイレはスペースも限られておりサニタリー用品を捨てる場所に困ったりするという声もあるらしい。

そんな中、取り替えるタイミングを気にすることなく、取り替え不要でゴミも出ない吸水ショーツを穿くことで、安心してに集中ができるという感想ももらっているようだ。

「ZIPAIRは、『NEW BASIC AIRLINE』というコンセプトを掲げています。これまでになかった、新しい常識を作っていくという意味を込めていますが、コロナ収束後を見据え、需要が戻ったとしても以前と同じ状況に戻るわけではないので、その時々に応じたお客さまが求めるものにしっかりと応えていきたいと思います。」と西山氏。

筆者の私見ではあるが、新型コロナウィルスとの共存の時代がやってくると思う。インフルエンザのようにワクチンを摂取しながら。そして、航空機もいろいろな選択があると思う。ナショナルフラッグの良さ、そしてLCCの良さ。

数年前まで毎年ハワイに行っていた筆者。次回はぜひともZIPAIRでホノルルを目指したいと思う。タブレットを駆使しながら……。少しずつではあるが、航空業界にも光が指してきた。復活の兆しが見えてきた。そして、ZIPAIR自身もどんどん変わっていっていると思う。今後が楽しみだ。

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