ロマンチックな世界旅行に誘う、まったく新しいデュアルタイムとシリコン製ダイヤルの「ケープコッド」
ケース左側のボタンを押すと、「アルソー」特有の流れるような数字フォントをもつインダイヤルが世界24都市の名称が記された外周に沿って反時計回りに移動。同時に時針が1時間ずつ進んで現在時間を表示する。エルメスの新作「アルソー ル タン ヴォヤジャー」は直訳すれば「旅人の時間」となるが、まったく新しいスタイルのデュアルタイムであり、ワールドタイムの新解釈ともいえるだろう。これまでは時差の異なる世界24都市の表示に対応した24時間リングが回転。刻々と移り変わる各地の時間を示していたが、この新作では時分針を持つインダイヤル自体が移動するため、各都市の時間が極めて読みやすくなった。いわば「アルソー」の個性的なダイヤルが世界を自ら旅するのである。
12時位置にはホームタイム表示があるので、母国時間を見失うこともない。このホームタイムと時分針はリューズで調整する。ダイヤル中央には世界地図が描かれているが、これは現実ではなく、ジェローム・コリヤールがデザインしたシルクのカレ「乗馬の世界地図」を表現している。幻想的な架空の地図をリアルな機構の背景にしたことがエルメスらしいウィット。海洋部分をレーザー彫刻した後にラッカーで塗装するなど、精緻で丁寧な仕上がり。プラチナケースのブラックダイヤルのほかに、SSケースのブルーダイヤルもある(予価¥2,695,000)。
「ケープコッド」は長方形のフレームに正方形のケースを重ねた個性的なコレクションだが、半導体に使用されるシリコンウェハーをダイヤルにした革新的なモデルが登場した。エルメスではヌーシャテルに本拠を置くスイス電子工学・マイクロ技術研究センターと2018年にミーティングを実施。シリコンウェハーを利用したダイヤルを製造するプロジェクトを進めてきたが、夕暮れを意味する「ケープコッド」クレスプキュールとして発表された。空と海が遠くでつながった水平線を想わせる奥ゆきと透明感が特長であり、ダイヤルの新しい素材になりそうだ。
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの発表モデル一覧(随時更新)
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