モノグラムが浮き出る⁈ エンボス加工が施された、ルイ・ヴィトンのグラデーションバッグ

  • 写真:加藤佳男
  • 編集&文:倉持佑次
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ネオンカラーのグラデーションが美しい新作バッグ。W42×H34×D11cm。¥506,000(税込)/ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービスTEL:0120-00-1854)

コロナ禍の影響で買い物に出かける機会が減ってしまったが、新たな年度を迎えるいまこそ、旬の服を手にする絶好の機会だ。そこで、2022年春夏シーズンの新作から人気ブランドの注目アイテムを紹介したい。今回登場するのは、ルイ・ヴィトンのグラデーションバッグだ。

ヴァージル・アブローによる最新コレクションは、自由な思想を感じさせる、カラフルな服や小物が際立った。ブルーを強調したトラックスーツや、ビビッドな色彩のスニーカーなど、コロナで落ち込む世界に鮮やかな喜びを届けてくれたといえるだろう。

ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターとしてデビューした2019年春夏コレクションで、ヴァージルがダイバーシティーを象徴するレインボーカラーを大胆に取り入れ、ラグジュアリーとストリートを融合させたことは記憶に新しい。以来、メゾンのアイコンはたびたび彼の手により新しい姿に生まれ変わり、そのたびに私たちを驚かせた。

ネオンカラーのグラデーションが美しいこのバッグは、モノグラム・モチーフをエンボス加工し、スプレー缶で彩色したかのようなグラデーションを加えることで、「モノグラム」を立体的に演出。レイブカルチャーから着想を得た熱狂の空気を鮮やかな色彩で表現したという今季のコレクションのなかでも、ひと際鮮烈な印象を放つ一品となっている。

デイリーユースに十分な容量を備え、ショートトリップに向けても過不足なし。普遍的なメゾンのモチーフを採用したデザインは、現代アートを所有するかのような満足感すら与えてくれる。多様なラゲージを提案してきた同メゾンの歴史においても、これほどまでに私たちの気持ちをかき立てる存在は、そう多くないはずだ。

旅への期待を抱かせるその佇まいからは、世界にポジティブなメッセージを発信し続けたヴァージルの声が聞こえてくるようだ。

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ファスナー開閉式でアクセスするメインコンパートメントには、ファスナー式の内ポケットが1つ。ライニングには深みのあるブルーのテキスタイルを採用。
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エンボス加工に色のグラデーションを重ねることで、奥行きのある「モノグラム」が誕生。表面から浮き出ているような錯覚に陥るほど、精緻な仕上がりだ。
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今季のコレクションは、2021年11月28日に逝去したヴァージルが生前に発表した最後のシーズンとなる。特別な価値をもつといっても過言ではない。© Fabien Montique

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※この記事はPen 2022年5月号「いま欲しい95の服と小物」特集より再編集した記事です。