日本酒をソースや調味料として考える? 「日本酒ペアリング」とは一体なんなのか

  • 文:千葉麻里絵
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恵比寿の日本酒バー「GEM by moto」のブルーチーズハムカツと民宿遠野のどぶろく。ハムカツをひと口食べて、どぶろくの粒々感をソースのように合わせるというお店のスペシャリティ。

みなさん、「日本酒ペアリング」という言葉を聞いたことがありますか?
私が日本酒ソムリエをしているお店、恵比寿の「GEM by moto」ではこの「日本酒ペアリング」を意識して2015年にお店をオープンしました。

日本酒ペアリングとは、簡単にいうと、日本酒だからこそできるフードペアリングのことです。ワインでいうならばマリアージュという言葉がありますが、それとは分けて考えています。料理を食べて日本酒を飲むと、料理に日本酒が寄り添い、邪魔をしないというのが従来の考え方でした。私の提案する日本酒ペアリングは「料理と日本酒が一緒になることで口の中で新しい料理を完成させる」というような、日本酒がもっと楽しくなる新たな味覚を見つけるイメージです。マリアージュはフランス語で、テーブルで料理をいただいて、ナプキンで口を拭ってからワインを口に含みます。その食べ方も含めてマリアージュです。


さて、日本人はどういう食べ方をしているのか?日本人はご飯を食べ、おかずを食べて、お味噌汁を流し込む三角食べ、別名で口内調味という食べ方をします。この食べ方はお酒を飲む時にも影響していて、特に日本酒の場合は塩を舐めながら〜というような料理と日本酒が口内で一体化する食べ方をしていることに興味をもちました。せっかくならば国酒である日本酒においては文化の違いを生かしつつ、伝統にとらわれすぎずに新しい提案をできたらもっと日本酒が楽しくなるのではないか?と考えて、今も日本酒ペアリングを提案しています。


とはいえ、どうしたら日本酒ペアリングってできますか?など日々、色々なご質問をいただきます。日本酒ペアリングの中でも1番身近で取り入れやすい手法がありますので紹介しますね。それは日本酒を調味料やソースの代わりとして考える手法です。例えば唐揚げにはレモンが必要だったり、お肉にはデミグラスソースがほしいなという感覚は、みなさんありますよね?今は日本酒が面白い時代です。造り手さんが伝統を守りながら様々なチャレンジをしています。日本酒は辛口であるという時代は変わり、日本酒の味わいも多様化してます。

最近の日本酒はレモンのような酸味のあるタイプ、果物や花の香りがするタイプ、チョコレートやデミグラスソースのようなコクのある熟成酒など、驚くほど楽しいお酒になってきてます。王道である辛口の日本酒もそれらがあって、なお輝きを増してます。そういう新しいタイプの日本酒を調味料、ソース代わりに料理に合わせてみる手法が、みなさんにもイメージが湧くと思いますので、次回は「カレーに合うラッシーのような日本酒」をご紹介します。是非、お家でもすぐに楽しめるのでやってみてください。楽しい体験ができると思います。

千葉麻里絵

日本酒ソムリエ、恵比寿の日本酒バー「GEM by moto」店主

化学的知見をもとに一人ひとりの“いま”に合った日本酒を提供。料理人とコラボし、日本酒体験に時間と空間と温度を取り入れた新スタイルを模索する。日本酒の提供に論理的アプローチを取り入れたSAKEカルテも考案。

千葉麻里絵

日本酒ソムリエ、恵比寿の日本酒バー「GEM by moto」店主

化学的知見をもとに一人ひとりの“いま”に合った日本酒を提供。料理人とコラボし、日本酒体験に時間と空間と温度を取り入れた新スタイルを模索する。日本酒の提供に論理的アプローチを取り入れたSAKEカルテも考案。