新たなリーダーとともに、伝統を守り、革新していく「ピアジェ」

  • 文:並木浩一
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時計ブランドとして、またジュエラーとしても世界的な存在であるピアジェ。そのCEOを昨年6月から務めるのがバンジャマン・コマー氏だ。ラグジュアリービジネスの経験が豊富であり、腕時計の目利きでもあるエキスパートである彼は、これからのピアジェをどう舵取りするのか。東京とジュネーヴを結んだオンラインインタビューで、コマー氏に話を聴いた。

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ピアジェCEO、バンジャマン・コマー。1992年にカルティエでキャリアをスタートさせて以来シャネルなどの一流ブランドで重要な役職を歴任しロンドン、東京、モナコ等でも国際的なキャリアを経て現職。

──就任早々、GPHG(ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ)でピアジェの時計が2部門を受賞されましたね。


「就任して3ヶ月しか経っていませんでしたので、前任者やプロジェクトに関与していたチーム全員の功績だと思っています。ピアジェにとってはとても光栄なことです」

──新作「ピアジェ ポロ スケルトン」は、1700個以上のダイヤモンドと、自社製薄型自動巻スケルトンの魅力を併せ持っています。その価値をどう自己評価されますか。

「ひとつずつ数えていただきたいほどなのですが、正確には1746個です(笑)。本当に私の目から見てもすばらしい時計だと思っています。薄型でありながらスポーティで、カジュアル、シック、エレガント。ピアジェを表現する言葉が一つずつ詰まっている時計ですね。『ポロ』で『ジュエリー』、そして『スケルトン』。この組み合わせが生まれたのは、ピアジェの歴史から考えれば自然なものです」

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昨年発表されて話題をさらった「ピアジェ ポロ スケルトン」のジュエリーモデル。2.4mmの超薄型スケルトンムーブメント「1200S1」と壮麗なジュエリーアートの魅力が融合した傑作。精緻な美の一方、30mの防水も備える。¥28,380,000(税込予価)

──もう一本の新作「ライムライト ガラ アベンチュリン」の見どころ、魅力はどのようなところでしょうか。

「この時計は、エレガントの究極の姿でありますし、クリエイティブなデザインでもあると思っております。それに加えて、ミラネーゼメッシュ・ブレスレットですね。伝統的な工芸技術であり、ピアジェの本拠地であるジュネーヴでつくられたものです。軽量でつけ心地もよく、私たちは第二の皮膚(セカンド・スキン)などと表現しているのですが。いっぽうでケース自体がとても大胆で、力強い。クチュールのような軽やかさとコントラストがとても気に入っています。職人が8人がかりで、つくり出すのに100時間ほどもかかる。最高峰の技術を駆使して、1つずつ手作りしています。300点の限定ですが、おそらく早いうちに皆さんがご購入されるのではないでしょうか。

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計62個のダイヤをセットしたホワイトゴールド製32mmケースに、神秘的なアベンチュリンガラスを備えた華麗なモデル「ライムライト ガラ アベンチュリン」。ミラネーゼブレスレットは366本のホワイトゴールドの糸をらせん状に巻いて織り上げている。¥6,248,000(税込予価)

──ご自身の中にある時計とジュエリーへの情熱は、それぞれ何パーセントずつなのでしょうか?

2人の子どものうち、どちらが好きなのか、と問うような質問ですね(笑)。1人を選ぶことはできませんし、2人とも誇りに思っている。つまり50%と50%なのですが、その2つをともに融合させていくライン(ジュエリーウォッチ)がありますので、それも入れるとそれぞれ33%ほど、ということになるでしょうか。

──日本、また日本の顧客についての印象をお聞かせください。

私は30年以上前から心底から思うのですが(東京で5年間働いていた経験がある)、日本のお客様は、一人ひとりがとても豊富な知識を持っており、正確な情報を求めています。妥協をせずに、デザインも新たなものを常に求めていらっしゃる。その期待に沿うよう、に努力していきたいと思います。制限が解除されたら、真っ先に日本を訪れたいですね。

質問への受けこたえから、誠実な人柄がにじむコマー氏。この伝統あるブランドを、自らの手でどう進化させていくのだろうか。3月末からオンラインとフィジカルの融合で行われる、腕時計の祭典Watches & Wonders 2022。ピアジェが発表する新作に、関心は高まるばかりだ。

問い合わせ先/ピアジェ コンタクトセンター TEL:0120-73-1874