太陽の動きから時間が生まれ、夜空の月や星の変化を読み取ることで暦が始まった。こうした天体の動きを歯車やカムの複雑な組み合わせでさまざまに写し取ってきたのが時計の歴史であり、パーペチュアルカレンダーがひとつの結実といえるだろう。月末を自動判別して日付を送るだけでなく、4年に1度しか訪れることのない閏年までプログラム。人の手による調整が不要なことから、日本語では永久カレンダーと呼ばれる。
複雑時計の名門として知られるオーデマ ピゲは、1955年に世界初の閏年表示を備えたパーペチュアルカレンダーを発表。78年には厚さ3.95㎜という当時の世界最薄自動巻きムーブメントを開発しており、この分野のパイオニアとして知られる。2019年に誕生した新コレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」でもパーペチュアルカレンダーが最初からラインナップされていたが、ダークブルーのアヴェンチュリンダイヤルを採用。高度な複雑機構だけでなく、悠久の夜空を想わせるロマンチックな煌めきが魅力だった。このモデルのケースは18Kピンクゴールドだが、2022年の新作として18Kホワイトゴールドのバージョンを追加。メタリックなシルバーカラーのケースによって、美しい星空に清涼な雰囲気が加わったといえそうだ。
---fadeinPager---
研ぎ澄まされた美学を感じさせるダイヤルデザイン
研磨後に極めて薄くカットしたダークブルーのアヴェンチュリンガラスがダイヤルプレートに取り付けられているため、曜日、月・閏年表示、日付のサブダイヤルはフレームや段差のない完全フラットになっている。ムーンフェイズの小窓から見えるディスクにも、アヴェンチュリンがセット。この繊細かつ華やかなダイヤルにホワイトゴールドのシャープなバーインデックスと針が絶妙にコントラストしており、研ぎ澄まされた美学が感じられる。ただし、ダイヤル外周(インナーベゼル)で週番号を表示するサークルは濃厚なブルーラッカー仕上げ。アヴェンチュリンの夜空の終わりを告げる地平線といえるかもしれない。この週番号は、年始めから数えて何番目の週になるかを示すヨーロッパでは一般的なスタイルだが、近年は米国や日本でも普及しつつある。週単位でスケジュールや進捗を管理できるほか、納期や日程を厳密に指定できるため、勘違いや誤認防止にも役立つといわれる。
---fadeinPager---
日付と月齢の調整は2100年まで一切不要
搭載ムーブメントは、1993年に発表された薄型の「キャリバー2120/2800」を改良して2015年に登場した「キャリバー5134」。365個にも及ぶパーツを直径29.00㎜、厚さ4.31㎜の中に収めている。ムーンフェイズも122年で1日の誤差という高精度。グレゴリオ暦による閏年の例外は直近で2100年なので、時計を動かし続けていれば、この年の3月1日まで日付や月齢の修正は一切不要だ。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ パーペチュアルカレンダー」は、円形の極薄ベゼルと裏蓋で8角形のミドルケースを挟み込んだ独特の構造と、中空のラグをアクセントとするダイナミックなサイドビューが際立った個性となっている。風防のサファイアクリスタルも内側はドーム状だが、外側は6時〜12時方向に膨らみをもたせたダブルカーブと呼ばれる特殊なスタイル。このサファイアクリスタルがアヴェンチュリンを拡大して見せる恰好のレンズとなり、その魅力をさらに増幅させる仕掛けといえそうだ。とびきり美麗な星空の煌めきを手首に巻いて、今日はどこに出かけようか。
問い合わせ先/オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000
---fadeinPager---