世界中で空前の大ヒットとなった韓国ドラマ『イカゲーム』(Netflix)。約190カ国で配信され、既にシーズン2の製作も決定。昨年最も話題となったドラマのひとつだ。
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身の毛もよだつ残酷なサバイバルゲームを描いた物語だが、「だるまさんがころんだ」や「カルメ焼き」など、どこかほっこり懐かしい物事も登場。その落差がさらに恐怖を誘う作品だ。
Here’s how to make Dalgona Candy, or Ppopgi, the South Korean treat featured in an episode of the Netflix hit “Squid Game.” https://t.co/r7h8zC37mT
— The New York Times (@nytimes) October 17, 2021
豪華キャストや衣装デザイン等、人気作だけに微に入り細に入り話題だが、このシーン(↓)のセットデザインは世界中の人たちの度肝を抜いたはずだ。
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迷路のような、そしてエッシャーのだまし絵のような建物の中を、運営スタッフたちがグルグル巡る不気味なシーン。実は、このセットデザインにインスピレーションを与えたと言われる建築物が実在する。
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スペインにある集合住宅がモデルに?
それは、スペインの建築家、リカルド・ボフィル(1939~2022年)が設計した集合住宅「ラ・ムライヤロハ(La Muralla Roja)」。スペイン南部の海辺の街・カルペにあるリゾート施設群「ラ・マンサネラ」内にあり、1973年に竣工した建物だ。
カタルーニャ地方の伝統的建築の手法を採用しつつも、独特の色使いと幾何学的なモチーフがユートピア的な印象を与える。この建物を知っている人であれば、「イカゲーム」のセットを見ただけで、「あ、あの建物!」と脳裏に浮かんだに違いない。
Squid Game: Minimalist Chic and Spaces of Oppression https://t.co/SyPVRoO0vC pic.twitter.com/7rR5jugYMU
— ArchDaily (@ArchDaily) November 12, 2021
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『イカゲーム』に影響を与えた建築家の生涯
ボフィルは2022年1月14日、新型コロナウィルスによる合併症のため82歳で他界した。生涯で1000以上のプロジェクトを手がけ、国際的に活躍した彼の作品すべてをたどるのは困難だが、短くではあるが彼の経歴と代表作を紹介したい。
リカルド・ボフィル氏死去(スペインの建築家)https://t.co/lqYaH9qJSt
— 時事通信国際ニュース (@jiji_gaishin) January 15, 2022
1939年、建築業者の息子としてバルセロナで生まれたボフィルは、バルセロナ高等建築学校、ジュネーブ建築学校で学んだ。1963年、建築集団タリエール・デ・アルキテクトゥーラ(=建築工房)を設立し活動を開始。1960年代からモダニズムおよび地域主義の作風で知られた。
●「ウォールデン7」(スペイン・バルセロナ、1975年)
AD Classics: Walden 7 / Ricardo Bofill https://t.co/00QASb1DsJ pic.twitter.com/SeIyALlyuG
— ArchDaily (@ArchDaily) August 23, 2020
Ricardo Bofill tarafından tasarlanmış sıra dışı bir apartman kompleksi: ✨ Walden 7 ✨
— Piri Guide (@Piriguide) February 20, 2022
📸: Victor Cheng pic.twitter.com/fke8tZxZE8
幾何学的要素を用いた建築の集大成と言われている集合住宅。外観のデコボコとした形、および中庭を面した部分のブルーと茶色の配置は、ボフィルにしか発想できない強烈なインパクトを与える。日常の中に非日常のアクセントを加味している。
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●「アブラクサスの宮殿・劇場・凱旋門」(フランス・ノアジー=ル=グラン、1982年)
Les Espaces d'Abraxas, Noisy-le-Grand, France credit to Reddit user didnteventri pic.twitter.com/SvHEPbLmTv
— The French History Podcast (@FrenchHist) January 3, 2022
Les Espaces d'Abraxas, conjunto de 591 apartamentos diseñados por Ricardo Bofill (1978 - 1982) en Noisy-le-Grand (Francia) pic.twitter.com/7v5ltZQ0gC
— EP ¹ (@extranosparaiso) June 19, 2021
宮殿・劇場・凱旋門の3つの建物で構成された、パリ郊外に建設された集合住宅(全591戸)。古典主義を取り入れた荘厳な作風は、「ポスト・モダン・クラシシズム」と呼ばれた。
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●マドリッド・コングレスセンター(スペイン・マドリッド、1993年)
El legado que Ricardo Bofill dejó a Madrid (y el que pudo ser) https://t.co/SCAMzjriMQ
— EL MUNDO (@elmundoes) February 14, 2022
一面をガラス張りにしたエントランス部分は一見コンテンポラリーな巨大建築。しかし大理石を多用することで「荘厳さ」も漂わせつつ、全体を調和させている。
●モハメッド六世ポリテクニック大学(モロッコ・ベングリール、2017年)
Université Mohammed VI Polytechnique / Ricardo Bofill #Morocco#Architecture #InteriorDesign #CulturalArchitecture pic.twitter.com/kNGdovuaGU
— ArchDaily (@ArchDaily) February 16, 2022
ricardo bofill completes design for mohammed VI polytechnique university pic.twitter.com/psGTYaELBr
— Archlectic Design (@Archlectic) February 26, 2017
テラコッタ色とモロッコの青い空のコントラストが美しい。伝統的でありながらも、中庭にガラスの屋根を配置し、どこか近未来的な雰囲気を醸し出す。
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日本にもあるボフィル建築
ボフィルの建築は日本でも見ることができる。機会があったらぜひ訪ねてみてほしい。
●ユナイテッドアローズ原宿本店(東京都、1992年)
●青山パラシオタワー(東京都、1999年)
お家賃は月額1000万円超え!?
— 青山不動産情報館合同会社 (@aoyama_house) December 9, 2015
表参道の最高峰のオフィスです☆彡
『青山パラシオタワー 表参道駅直結のハイグレードオフィスビル』
⇒ https://t.co/FoxrGWNQ1g#青山パラシオタワー #表参道 pic.twitter.com/LD9bJoZnIp
●東京銀座資生堂ビル(東京都、2001年)
スペインで最も国際的な建築家の一人であるリカルド・ボイルが先週亡くなりました。 日本では銀座資生堂ビルが彼の最も有名な作品です。#RicardoBofill pic.twitter.com/GHNOuSfn0l
— 🇪🇸España en Japón 🇯🇵 (@EmbEspJapon) January 18, 2022
ボフィルの訃報は、彼の偉大なる建築物の紹介とともに多くのメディアで報道された。これからも世界各地に残る作品を見るたびに、多くの人がその偉業を思い出すはずだ。
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「イカゲーム」と「ラ・ムライヤロハ」の対比動画が面白い!
アルゼンチンのニュースメディア「A24com」のYouTubeチャンネル(↓)が、「イカゲーム」とそのセットのインスピレーション源といわれる「ラ・ムライヤロハ」とを並べて比較している。
「ラ・ムライヤロハ」にはAirbnbとして貸し出しているアパートもあるので、滞在も可能なようだ。