深く降り積もった雪原を強風が削り取って生まれる紋様を「シュカブラ」と呼ぶ。ノルウェー語の「波(skovla)」が語源といわれるが、このダイナミックな雪のうねりをダイヤルで美麗に表現したスプリングドライブの限定2モデルが「グランドセイコー」から登場した。
2022年は「グランドセイコー」初のGMTが誕生して20周年。同じく初のクロノグラフも誕生15周年。これらを記念したスポーツコレクションであり、スプリングドライブを生み出す「信州 時の匠工房」を麓に置く北アルプスで春先に見られる荒々しく勇壮な雪原をイメージしたという。特別仕様のダイヤルだけでなく、ムーブメントも高精度に特別調整。GMT、クロノグラフともに、従来のキャリバーは平均月差±15秒(日差±1秒相当)だが、これを平均月差±10秒(日差0.5秒相当)までチューンナップしている。この特別調整精度の証として、ローターに18Kイエローゴールド製の「獅子の紋章」をはめ込んでおり、シースルーのケースバックから視認できる。

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アクティブな国際派に便利なクロノグラフ
クロノグラフの15周年記念モデルから紹介すると、2時位置に30分積算計、4時位置に12時間積算計をレイアウト。かなり個性的なスタイルだが、右側のタテ位置に寄せたことで、視線を動かすことなく、瞬時に時間と分の経過が把握できる。ダイヤル左側にはスモールセコンドとパワーリザーブ表示をまとめており、機能によって位置を振り分けた合理的なデザインといえるかもしれない。さらに、ブルーの矢印をトップにもつ針がダイヤル外周の24時間計を指し示すGMT機能も搭載。アクティブな国際派には便利な組み合わせだ。
太くて長いプッシュボタンも操作性を考慮した結果であり、「ねじロック式ボタン構造」が誤作動や損傷を防ぐだけでなく、半押しして感触を確かめながらベストなタイミングでスタート/ストップできる「READY/STARTモード」も採用。ピラーホイール(コラムホイール)と針飛びの怖れがない垂直クラッチの組み合わせなどによって、重くも軽くもない快適な押し心地を実現している。ちなみに、セイコーは1969年に世界初の垂直クラッチ搭載の自動巻きクロノグラフを発表。この技術資産の進展がスプリングドライブに応用されているのである。

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ダイヤルの魅力を堪能できるGMT
もう1本のGMT20周年記念モデルは、ブルーの針の大きな矢印がダイヤル最外周と回転ベゼル、2つの24時間計を指し示す。ダイヤル側の24時間計を第2時間帯としてブルーの針をセット。この針の位置に、別地域の現地時間を回転ベゼルで合わせれば第3の時間帯として利用できる。どちらも昼夜をブルーとホワイトに色分けしているので判別しやすいだけでなく、国際派を印象付けるアクセントともいえる。インダイヤルがパワーリザーブ表示の扇形しかないので、クロノグラフよりも「シュカブラ」ダイヤルの味わいを堪能できるかもしれない。GMT、クロノグラフともに約72時間のロングパワーリザーブなので実用性も高い。
手首の角度によって立体的な陰影をもたらす清楚で純白なダイヤルの上を、秒針(GMTモデル)やクロノグラフ秒針が無音でなめらかに流れていく。夜半の嵐が過ぎ去って快晴となった早朝の北アルプスの静謐な雪原を思わせるダイヤルに、このスプリングドライブのスイープ運針がみごとに調和するのである。

問い合わせ先/セイコーウオッチお客様相談室 TEL:0120-061-012
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