新作が並ぶたびに服好きの大人をワクワクさせる名店、「レショップ」、「グラフペーパー」、「ブルーム&ブランチ」。東京・青山周辺を拠点にする3ショップはスタイルは違えども、日本的な感性が息づく点で共通している。品揃えのセンスが私たちの生活実感にしっくりと馴染む。当ファッション連載「着る/知る」も尊敬して止まない、東京スタイルの発信者たちである。
このたび3ショップの現ラインアップのなかから、まだ寒い現在手に入れて春も便利に使える旬のアイテムを探った。店と相談して選んだアイテムと、私的な“エディターズ・チョイス”の2本柱でお届けしよう。
■別注で魅せるレショップ
古着も店に置き、店内のどこを見回してもひとクセあるアイテムばかりのレショップ。いつも発売日に行列ができるほど評判になるのが別注アイテムである。他店にない強烈な組み合わせが熱心なファンの心を鷲掴みしている。ここにピックアップしたのは、2月に登場するイチオシの別注コート。イギリスのラベンハムに発注した、現行品とはまったく異なるデザインだ。
ベースになったのは1940年代の第二次大戦期における、イギリス軍の耐ガス&耐防塵用コート。古着を現代的にアレンジしたのがこの服だ。ポケットは胸にマチ付きがひとつあり、サイドポケットなど一切なし。そんな潔いところも忠実に再現している。ピンク色のモデルは、当時のコートがピンク系だったことからの着想である。
ベースになった現物と大きく異なるのは生地。元はコットンだが、軽く羽織れるようにペラッとしたラベンハムのオリジナルリサイクルナイロンを使った。ラベンハムにこれほど大胆な別注ができる店やブランドは、レショップ以外はごくわずからしい。希少性でも注目される一着だ。
エディターズ・チョイス
現在の店内で異彩を放っているのが、この男っぽさ満点の大迫力コート。昨年秋にリリースされたバブアーの完全別注品である。ビンテージのフランス製コートをベースにした裾広がりのエレガントな形と、バブアーのワイルドなオイルドコットンが絶妙に調和する。フードを被って土砂降りの中を歩きたくなる傑作だ。クセが強いにも関わらず売れたアイテムながら、生産数を多くしたためまだ少し在庫があるとのこと。欲しい人は店に急ごう!
L'ECHOPPE 青山店
東京都港区南青山3-17-3 1F
営業:12時〜20時(平日)、11時〜20時(土日祝)
不定休
TEL:03-5413-4714
https://lechoppe.jp/
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■都会の洗練を極めるグラフペーパー
歴史的なデザイナーズ家具が置かれたギャラリー空間のなかに、ソリッドな服が静かに佇む。グラフペーパーはグラフィカルなモダンアートの感性を持つ人が心地よく過ごせるファッションを示す店だ。ここに選んだアイテムは、グラフペーパーブランドのデニム上下とニット。たっぷりとしたオーバーサイズで、定番ワードローブが新鮮な表情に生まれ変わっている。
今春に新登場した35型のデニムコレクション「Graphpaper DENIM」から、大人が品よく着やすいリジッドのジャケットとパンツをセレクト。コーンデニム社(旧コーンミルズ社)のセルビッジ生地を使い、ビンテージパーツもふんだんに盛り込んだデニム好きも納得の仕上がりだ。
グラフペーパーならではの個性は、ビッグなオーバーサイズにある。ジャケットは分厚いニットの上にも余裕で羽織れ、風が冷たい真冬の外出時での風よけに重宝する。着丈も腰を覆う長さだから、ジージャンよりカバーオールに近いハイブリッドなバランス感だ。
こちらも肩が落ちてアームホールもビッグなオーバーサイズのニットポロ。素材が春向けの綿糸だが厚みがあるため、中に温かいインナーを着れば冬でもOK。顔が品よく見えることで「テレワークに便利」と人気急上昇のニットポロは、新しい着こなしを生むキーとなる注目アイテムだ。
エディターズ・チョイス
2000年代の「Y2Kファッション」として、20歳前後のZ世代に人気が高まるワイドカーゴを発見。先鋭的な日本ブランド、アマチ(amachi.)のものだ。ダブルニーのパッチがリメーク風でユニーク。コットン生地でやや薄手だが、冬の黒い服装を春の明るい装いに変化させる中継ぎとして今から活用したい。
Graphpaper AOYAMA
東京都渋谷区神宮前5-36-6 KARIマンション 1A/2D
営業:12時〜19時
月曜定休
TEL:03-6418-9402
www.graphpaper-tokyo.com
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■和に根付くブルーム&ブランチ
穏やかに日本の古都を散策するのが好きな人なら、確実にこの店のファンになるだろう。ブルーム&ブランチの取り扱いアイテムは、大半が日本ブランドとプライベートブランド。派手さを抑えた小粋なものばかりだ。掲載する「今買いたい」アイテムは、チェック柄のセットアップスーツと白い靴。冬と春で違った印象を出せるお得な品である。
上段写真は、袖にカフスがあり裏地もついたシャツジャケットと、ワイドパンツのセットアップ。テーラードのきちんと感を出しつつも気楽に着たいときにぴったりだ。生地が縮織風のざっくりとしたサマーウールなのがいい。真冬に着ても寒々しく見えないし、通気性があるから汗ばむ季節まで着られる。シワにもなりにくく家周辺で過ごす日にも重宝するだろう。
白シューズは、天然ゴム底でアッパーがくったりとしたカジュアルなもの。冬には重く見えがちな服装の軽快なアクセントに、春夏は素足で履き、いつものスニーカー姿から服装をアップグレードさせよう。
エディターズ・チョイス
ベルギー軍のライナーから着想を得たジャケットである。リバーシブルで冬はキルティング面を表に、春はカーキ面にして長く着続けられる。どのシーズン向けの服かは見た目の印象が大事だが、そこが見事にクリアされた着回ししやすいアイテムだ。
BLOOM&BRANCH AOYAMA
BLOOM&BRANCH AOYAMA
東京都港区南青山5-10-5第1九曜ビル101
営業:12時〜20時
不定休
TEL:03-6892-2014
https://bloom-branch.jp/
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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