“ミステリーの女王”アガサ・クリスティの代表作でもある名探偵ポアロシリーズの傑作を、豪華オールスターキャストで映画化した『ナイル殺人事件』の見どころを紹介する。
【あらすじ】乗客全員が容疑者!豪華客船で起きた殺人事件の真相は?
エルキュール・ポアロをはじめ数々の名探偵を生み出し、発表した小説の累計部数が全世界で20億部を超える“ミステリーの女王”アガサ・クリスティ。彼女の小説はこれまで数えきれないほど映像化され、2017年にケネス・ブラナーが監督・主演を務めた映画『オリエント急行殺人事件』によって再びクリスティの作品が注目されるようになった。そして今年、同じポアロシリーズの傑作をブラナーが映画化した『ナイル殺人事件』が2月25日から劇場公開される。
莫大な遺産を相続したアメリカ人女性リネット(ガル・ガドット)は、親友ジャクリーン(エマ・マッキー)から「失業中の婚約者サイモン(アーミー・ハマー)を不動産管理人として雇ってほしい」と頼まれる。ところが、リネットがサイモンに一目惚れし、2人は結婚することに。リネットとサイモンはハネムーンのためエジプトへ向かうが、ジャクリーンが旅先に現れて付きまとう。リネットは現地で知り合った私立探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)に相談するが、「まだ事件は何も起こっていない」となだめられる。
2人はナイル川を巡る豪華客船カルナック号に乗船するが、やはりそこにもジャクリーンの姿があった。そしてある夜、客船の展望室でジャクリーンがサイモンと激しく口論し、彼の脚をピストルで撃ってしまうという事件が発生。医師のウィンドルシャム(ラッセル・ブランド)がサイモンを介抱し、看護師のバワーズ(ドーン・フレンチ)が取り乱したジャクリーンに付き添うことに。その翌朝、客室で射殺されたリネットの遺体が発見される。
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【キャスト&スタッフ】名優にして名監督ケネス・ブラナーがアガサ・クリスティの名作を現代に蘇らせる
2015年に『シンデレラ』、2017年に『オリエント急行殺人事件』と古典的な名作を現代に復活させたケネス・ブラナーが、今回再びアガサ・クリスティの傑作ミステリーの映画化に挑戦。幅広いジャンルで演出の才能を見せてきた彼が、愛憎劇から起きた殺人事件をテーマにした本作で、最も得意とする“人間の感情の動き”を繊細に描く。また、前作に続いて“灰色の脳細胞”をもつポアロに扮し、冷静沈着かつスタイリッシュな名探偵像を魅せる。
ポアロ以外のキャストも『オリエント急行殺人事件』と同様に豪華俳優陣が集結。事件の中心に君臨する資産家のリネット役に『ワンダーウーマン』のガル・ガドット。その結婚相手のサイモン役に『君の名前で僕を呼んで』のアーミー・ハマー。他にも、Netflixドラマ『セックス・エデュケーション』で注目を集めた若手女優エマ・マッキーやオスカーノミネート4度の実力派女優アネット・ベニングらが集結し、物語を華やかに重厚に彩っている。
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【見どころ】事件の謎だけでなく“心の謎”もひも解く大人向けミステリー
ミステリーの醍醐味といえば何と言っても、難解な事件の謎解き。“密室殺人”“全員が容疑者”というアガサ・クリスティお得意の迷宮シチュエーションが揃うなか、卓越した観察力と推理力によってポアロが“信じがたいトリック”を解き明かしていく様は実に爽快。
さらに事件の真相の謎解きだけでなく、事件の背後に絡んだ複雑な人間模様、いわば“心の謎”を紐解くこともミステリーの妙味。ブラナーが「原作で描かれている愛欲への渇望はものすごくパワフルで、登場人物たちは向こう見ずにそれを追い求めている。アガサ・クリスティの小説の中でも最も不穏な雰囲気を持った作品。不安定で、脆く、危険で、崩壊的」と語っているように、資産家リネットを巡る禁断の三角関係が物語の軸となっている本作は、その魅力を存分に味わえる作品に仕上がっている。
もう1つ忘れてはいけないのが、エジプト・ナイル川沿いの世界的名所を豪華客船で巡るという舞台設定。雄大なナイル川、ピラミッド、スフィンクス、アブ・シンベル神殿と背景が次々と切り替わっていく映像美を通して、ゴージャスなクルージング気分を楽しむことができる。そしてこうした体験はスクリーンで味わってこそ、スケールや美しさを損なうことなく没入できるというものだ。
悠久の歴史を背景とすることでエキゾチックな魅力を宿した、愛・嫉妬・欲望が複雑に絡み合う豪華ミステリー・クルーズ。まさに映画でしか味わえない珠玉の映像体験だ。
『ナイル殺人事件』
監督/ケネス・ブラナー
出演/ケネス・ブラナー、ガル・ガドットほか 2022年 アメリカ映画
2時間7分 2月25日(金)より全国ロードショー
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