時計界における近年の主要なキーワードに、ラグジュアリースポーツウォッチ、いわゆる“ラグスポ”がある。明確な定義はまだないが、いささか拡大解釈すれば「日常使いできる高級機械式時計」と言えるかもしれない。私たちの毎日はさまざまな状況が考えられ、豪雨や猛暑など過酷な環境に遭遇することも珍しくない。このためラグスポは、軽量かつ堅牢なボディに10気圧程度の防水性を備え、できれば蛍光による夜間の視認性確保も基本要件といえそうだ。
スイスの老舗時計ブランドであるジラール・ペルゴの「ロレアート」は1975年に登場したラグスポの先駆けだが、2021年に創業230周年を迎えた記念限定モデルとして、エナメルダイヤルを採用した「ロレアート 42mm エタニティ エディション」が発売された。アクティブなSS製ラグスポに伝統的な美術工芸のエナメルを組み合わせただけでなく、ダイヤルベースにはサンレイと呼ばれる放射状の彫り模様が施されており、光を直線的に織りなして反射する。ケースの円形台座の上に配置された8角形のベゼルに囲まれたダイヤルが美麗な艶を放つことで、ブレスレットと完全一体化した外観が高級感のあるエレガントな雰囲気に変貌している。
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世代を超えて色褪せることのないエナメルダイヤル展開
エナメルとは、シリカなどガラス質の成分を混合した媒溶剤に、発色する金属酸化物を加えた釉薬をダイヤルに焼き付ける手法だ。なかでも800℃以上の炉で高温焼結させるエナメルはグラン・フーと呼ばれるが、ダイヤル表面をガラス化するとも換言できる。このため、その美観が色褪せることはなく、世代を越えて永続的に保持されるという。「ロレアート 42mm エタニティ エディション」のダイヤルカラーはグリーンとブルーの2色で、それぞれ188本の限定。ジラール・ペルゴでは、このグラン・フーエナメルダイヤルを「エタニティ エディション」として、トゥールビヨンの「ラ・エスメラルダ」とレディスモデル「キャッツアイ」でも展開している。
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ラグジュアリー化で魅力を高める「ロレアート」
「ロレアート」では、2020年にブラックオニキスをダイヤルにした「インフィニティ エディション」をリリースしていることから、ラグスポの"ラグジュアリー"の方へ傾斜を強めているように思われる。直線的なバトン型の時分針に、シンプルで控え目なバーインデックスを植え込んでいるため、エナメルダイヤルの透明感ある色艶を堪能できるはずだ。残念ながら蛍光は施されていないが、今後も多彩なカラーや装飾手法が導入されるのではないだろうか。
問い合わせ先/ソーウインドジャパン TEL:03-5211-1791