兵庫県たつの市で、江戸中期に創業した「大三萬年堂」。約360年の歴史を誇る老舗和菓子屋の13代目、安原伶香さんが東京で営むのは、神田・淡路町にある和カフェ「大三萬年堂 ハナレ 御茶ノ水店」だ。「和洋折衷・温故知新をテーマとした新しい御菓子で日本の伝統文化をつないでいきたい」という想いを込め、和菓子の道を継いだ。
人気シリーズである「あずきとかかお」は、あんことカカオはともに植物の種子だから相性がよい、という発想から誕生した。兵庫の本店から送られる秘伝のあんこは、北海道産のとよみ大納言を選別し、まる2日間かけて銅鍋で丹念に炊き上げたもの。それをカカオ58%のベルギーチョコレートと合わせてつくるテリーヌは、なめらかな舌触りが特徴だ。豆の旨味も感じられる艶やかなあんこは上品な甘さで、後味もすっきりとしている。
安原さんは今後も本店との懸け橋となり、海外進出も視野に入れ、和洋菓子を広めていく予定だ。
※この記事はPen 2022年2月号「日本の建築、ここが凄い!」特集より再編集した記事です。