コロナ禍もあり、家でお酒を飲む機会が増えたという人は多いだろう。そんな家飲みの時間を豊かなものにしてくれるのが、当然ながら美味しい酒だ。
なかでもストレートやロック、水割りにソーダ割りと、様々な飲み方が楽しめるウイスキーは家飲みにぴったり。何本かのお気に入りを常備しておけば、その時々のシチュエーションや気分に合わせて楽しむことができる。
話題のジャパニーズウイスキーをはじめ、最近では様々な国でつくられたウイスキーがリリースされているが、コスパなども考慮したい家飲みには本場のスコッチウイスキーがおすすめ。
ここでは比較的最近にリリースされたスコッチウイスキーのなかから、家飲みにうってつけの3本を紹介する。
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クラフトウイスキーの先駆者
まずは「アラン バレルリザーヴ」。スコットランドの西岸に浮かぶアラン島のロックランザ村で、1995年に稼働を開始したアラン蒸溜所(現在はロックランザ蒸溜所)でつくられるシングルモルトだ。アラン島でのウイスキーづくりを150年ぶりに復活させた同蒸溜所は、独立資本で小規模、シングルモルトのみの生産にこだわるなど、当時としては珍しいスタイルで注目を集めた。いわばクラフトウイスキーの先駆者的な存在だ。
2019年にはアラン島内に第二蒸溜所となるラグ蒸溜所をオープンし、従来の蒸溜所の名称をロックランザに改名。その後にブランドデザインが一新され、独特の形状のボトルや抑え気味のデザインが秀逸なラベルなど、装いを新たにした現在のラインナップが登場した。
「アラン バレルリザーヴ」はそんなアランの入門編ともいうべき一本で、ファーストフィル(1空き=1度だけ熟成に使った樽)のバーボン樽での熟成に由来するレモンや柑橘、シロップ漬けのフルーツや、さわやかなバニラのような香りが楽しめる。飲めばほのかなウッディさやスパイシーさと相まって、マーマレードやオレンジクリームのような甘さが口の中に広がっていく。ストレートやロック、ハイボールなど、飲み方を選ばないうえ、軽やかな味わいなので休日の昼間にもよく似合う。自宅の酒棚には欠かせない、個人的にもお気に入りのウイスキーだ。
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ウイスキー通の「家飲み」にもうってつけ
次におすすめしたいのが「グレン・グラント アルボラリス」。スコットランドでも多くの蒸留所が集まるスペイサイドエリアのローゼス町で、1840年からウイスキーづくりを続けるグレン・グラント蒸留所の創設180周年を記念してリリースされたシングルモルトだ。
グレン・グラントで伝統的に使用されるのが、スピリッツと銅の接触を増やすことで雑味(不快な成分)を取り除くことができる精留器のついた、独創的な形状のポットスチル。かつてはスペイサイドを含むハイランド地方でつくられるウイスキーの代名詞でもあったスモーキーでヘビーな味わいのウイスキーとは一線を画し、一貫してクリーンでエステリーな味わいを信条とする。とくにイタリアではシングルモルトとして高いシェアを誇るが、日本のウイスキーファンにも長く愛されてきたブランドだ。
そんなグレン・グラントで60年以上のキャリアを誇る蒸留責任者のデニス・マルコム氏が、次世代のウイスキーファンに向けて開発したのが「グラングラント アルボラリス」。
バーボン樽とシェリー樽で熟成したモルト原酒を絶妙にヴァッティング。花々やレーズン、リンゴや洋梨のような香りと、フルーティでスイートな味わい。飲み口はどこまでもスムースで、心地よいオークや若干のスパイス、ハーブのニュアンスも感じることができる。
世界的にシングルモルトの価格が上昇傾向にあるなか、一本2000円台という価格も魅力。シングルモルト初心者のみならず、ウイスキー通の「家飲み」にもうってつけの一本だ。
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150年ぶりに復活した7年熟成のブレンデット
そして最後に紹介するのが「バランタイン7年」。
「バランタイン」といえば世界中で飲まれるブレンデッドスコッチの代表銘柄であり、ウイスキーファンならずともその名を聞いたことがある人は多いだろう。ブレンドに使用されているのは、ハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラ島の各地区から厳選したモルトやグレーン原酒。それらを繊細な技でブレンドした、スイートでフルーティかつ、まろやかでスムースな味わいが特徴だ。
ノンエイジの「ファイネスト」や、熟成年数が表記された「12年」「17年」「21年」などの製品がラインナップに並び、スコッチウイスキーでは世界2位の販売量を誇る。そんなバランタインの年数表記ウイスキーの元祖が「バランタイン7年」。ブランドの創始者である初代ジョージ・バランタインが初めて世に出した、熟成年数表記のあるウイスキーが、1872年に発売された「7年」熟成のバランタインだった。
2021年に復活した新たな「バランタイン7年」では、7年以上の熟成を経た原酒をブレンド後にバーボン樽で後熟させることで、熟成感と深く芳醇な香味を表現。少し金属を感じさせる甘いアロマのなかには、バニラやハチミツ、紅茶のようなニュアンスも。飲めばスイートさと心地よいビター感が、繊細なバランスで重層的に広がっていく。
たとえば夕食後のリラックスタイムに、ロックや水割り、濃いめのソーダ割りなどでゆったり楽しみたい一本だ。