洋画・邦画ともに注目作品の多い1月。筒井哲也の同名コミックを藤原竜也&松山ケンイチのダブル主演で映画化したサスペンス『ノイズ』の見どころやあらすじを紹介する。
【あらすじ】静かな孤島の平和がサイコキラーという“ノイズ”によって乱される
漫画家・筒井哲也が2017年から2020年まで集英社「グランドジャンプ」で連載したコミック『ノイズ【noise】』。静かな孤島にサイコキラーがやって来ることで巻き起こる不穏な事件を描いた話題作が、藤原竜也と松山ケンイチのダブル主演によって実写映画化され、1月28日から劇場公開される。
舞台は絶海に浮かぶ孤島・猪狩島。島の青年・泉圭太(藤原竜也)が生産を始めた黒イチジクが高く評価され、地方創生推進特別交付金として5億円が支給されることになり、過疎化に苦しむ島に希望の光が差し込む。そんなある日、小御坂睦雄(渡辺大知)という一人の男性が島に上陸する。小御坂の不審な言動に違和感を覚えた圭太は、幼なじみの猟師・田辺純(松山ケンイチ)と新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)と共にその行動を注視する。そして圭太の娘の失踪をきっかけに小御坂を誤って殺害してしまう。
「こんな島まで誰も探しに来ない」──3人は島の未来と大切な家族の未来を守るため、殺人の隠蔽を決意する。しかし、そんな3人の思惑に反して、小御坂の足取りを追って警察が大挙して押し寄せてくる。実は小御坂は元受刑者のサイコキラーだった。警察の執拗な捜査が進むうちに島の平和な日常が崩れていき、第2・第3の死体が増えていく。
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【キャスト&スタッフ】『デスノート』の藤原竜也と松山ケンイチの競演が再び
本作の最大の注目は、『デスノート』シリーズの藤原竜也と松山ケンイチによる再競演。同作での2人は共にエキセントリックな役柄であったが、今回は藤原が過疎化に苦しむ島の救世主となる泉圭太、松山がその幼なじみの漁師・田辺純という、どこにでもいる等身大なキャラクターに挑戦。出来心で殺人を隠蔽し後戻りできなくなっていく青年たちの狂気を、鬼気迫るエネルギーで緊張感たっぷりに魅せる。
他にも、2人の共犯者となる新米警察官の守屋真一郎に神木隆之介。島に現れるサイコキラー役に渡辺大知。さらに、圭太の妻を黒木華、圭太たちを追い詰める敏腕刑事を永瀬正敏が演じ、サスペンスフルな物語に生々しい人間的な感情を宿している。
監督を務めるのは、『ヴァイブレータ』『余命1ヶ月の花嫁』『ナミヤ雑貨店の奇跡』など数々の作品を手がけ、国内外から高い評価を受けている廣木隆一。サスペンスに挑むのはほぼ初でありながら、豪華キャストによる化学反応を余すところなく映像に刻み込み、原作コミックよりもさらに尖った緊張感を味わわせる。
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【見どころ】最も怖いのは普通の人々の心に潜む悪意
「絶海の孤島にサイコキラーが突然上陸する」という導入設定を聞くと、島民vsサイコキラーというホラーな展開を予想してしまうが、本作においてサイコキラーはあくまで島の平和をかき乱す“ノイズ”でしかない。「凶悪犯を殺してしまった青年たちが犯行を隠し通せるか」という緊張感がサスペンスの軸であり、その中で揺れ動く人間の複雑な感情が絶妙なアクセントとなっている。共犯者たちの足並みが乱れ、誰が敵か味方か分からなくなっていく中、“ある人物”の罠によって迎える衝撃の展開に息を吞まずにいられない。
さらに本作を異色のサスペンスたらしめるのは、孤島という独特のシチュエーション。青年たちは「島の未来を守るために殺人を隠蔽する者」であり、青年たちの不審な行動を追及する刑事たちは「正義のために島の生活を踏みにじる部外者」。一般的な善悪の立場が逆転した特殊な環境の中、双方の攻防に巻き込まれた島民たちにも変化が生まれ、平凡な人々の心の奥底に潜む悪意が呼び起こされていく様に背筋が凍る。
平穏な日常の歯車が無残に狂っていく緊張感と、人間同士の関係性が作る恐怖──ヒリヒリするような“ノイズ”に心がざわめく、まさに新感覚のサスペンスだ。
『ノイズ』
監督/廣木隆一
出演/藤原竜也 松山ケンイチほか 2022年 日本映画
1月28日(金)より全国ロードショー
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