『カバーズ』
USインディ・ロックの女傑による新作カバー集。原曲の新たな魅力を引き出す才能は過去のカバー2作で実証済みだが、今回もアメリカーナの香り漂う、オルタナかつフォーキーなサウンドで全編を彼女色に染め上げる。10代の頃に震えて聴いたイギー・ポップや祖母が愛聴したビリー・ホリデイなど、私的な思い出に深く結びつく曲のみで構成。フランク・オーシャンからザ・ポーグスまで、時代やジャンルを超越する渋めの選曲も魅力だ。荒んだ内容の自曲「Hate」を「Unhate」に改変した心意気も彼女らしい。
※この記事はPen 2022年2月号「日本の建築、ここが凄い!」特集より再編集した記事です。