マンションの前の広場に敷き詰められたダークグリーンのタイルにびっしり書かれた文字。
「これってインスタレーション?」
「マンション前にディスプレーされたアート?」
と思う人も多いだろう。
実は、ニューヨーク在住の作家であるアシュリー・ウッドフォークさんが同じマンションに住む「ある住人」に対して書いたメッセージなのだ。
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Ashley Woodfolk's (@ashwrites) latest book, Nothing Burns as Bright as You, is the feminist manifesto and queer novel of her heart. @MicheleKiricha1 got the scoop on the Geeks OUT blog: https://t.co/C8FWuXUx6H pic.twitter.com/FCkjAyDAJ8
— Geeks OUT 🏳️🌈 (@GeeksOUT) September 24, 2021
ウッドフォークさんは作家であると同時に、幼い息子を育てる母親。コロナ禍となり、子育て中の親は皆「子どもをどこで遊ばせたらいいのか?」と悩んだはずだが、ウッドフォークさんも同じ思いだった。 元気いっぱい、何にでも興味をもつ息子。平時であればミュージアムや映画館に連れていくこともできるが、パンデミックが猛威を振るう中、安全に遊ばせることができる野外は自宅のあるマンション前の広場ぐらいのもの。
ウッドフォークさんは、ここで息子にチョーク遊びをさせていた。広場のタイルは、チョークで落書きするのにうってつけの大きなキャンバス。息子はこの遊びをとても気に入り、文字を覚えるきっかけにもなったという。タイルに描かれた落書きは、しばらくはそのまま残るが、雨が降ればきれいに流れ去ってしまうものだ。ウッドフォークさんはこうした子どものチョーク遊びは住人にも許容されると思っていたが、同じマンションの住人には落書きを不快に思った人もいた。「ミラー紙 」によると、ウッドフォークさんに対する苦情がマンションの管理部に報告され、広場でのチョーク遊びが禁止になってしまった。
この知らせを聞き、「苦情を受けるようなことをしただろうか?」「なぜチョーク遊びが禁止されるの!?」と強く思ったウッドフォークさん。考えた末、苦情を報告したこの住人に対し、チョークを使って広場一面にメッセージを書くことにした。
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作家が広場一面に書いた「メッセージ」とは?
「私が広場でチョークを使うのはこれが最後でしょう」
という書き出しで始まるメッセージは、コロナ禍で幼い子どもを抱える母の思いがギュッと詰まったものだった。
「息子はチョーク遊びをとても喜び、特に『E』と『8』を書くのが好きでした。この無害な遊びがあなたを不快にさせたのでしたら申し訳なく思います」
「マンションには他にもっと大きな問題があるのに、あなたは皆の時間を無駄にしてまで苦情を報告しなくてはならなかったのですね」
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GOOD EVENING TO EVERYONE EXCEPT the woman at my co-op who complained to the board about me and my toddler using sidewalk chalk in the courtyard.
— Ashley Woodfolk (@AshWrites) October 26, 2021
So I wrote her a little letter.
In sidewalk chalk. In the courtyard. pic.twitter.com/Tbw52ZtVV110月末の時点では、厳しい寒さがやってくるまであと数週と言うタイミング。残り少ない野外で遊べる時期に、楽しい遊びを子どもから奪うことになった母としての無念さは、
「よい天気はあと数週で終わります。チョークフリーの広場でどうか秋を楽しんで下さい」
という皮肉たっぷりの文からも滲み出る。
ウッドフォークさんがこのツイートを投稿すると、多くの共感の声が上がった。現在までに1.7万のリツイート、約1400の引用ツイート、そして24.4万の「いいね」が寄せられ、メディアでも報道されている。
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A mom wrote out a letter to her neighbor in chalk on the sidewalk after they complained about her daughter's doodles on the ground. https://t.co/gcW5fdDuP4
— Newsweek (@Newsweek) October 29, 2021そして多くのフォロアーが、彼女への応援の気持ちを込めてチョーク画の写真や動画を投稿した。
Damn shame! I purchased sidewalk chalk this summer for my great niece. She used it right in front of our co-op. By the days end we had little ones playing rope, hopscotch, bike riding and connect four. People need to relax or stay in their corners silently!!! pic.twitter.com/X3g9f4JKTF
— Coli Cole (@lilvern41) October 29, 2021---fadeinPager---
チョーク遊びができなくなった息子はその後……?
さて、大好きなチョーク遊びができなくなったウッドフォークさんの息子さんは?というと、ツイートをたどってみるとこんな写真を発見した。
Thanks @alj_jayhawk! Chalks have arrived safely and baby boy is excited to use them. 🥰 pic.twitter.com/dTHd3nnuTE
— Ashley Woodfolk (@AshWrites) November 5, 2021
チョークビジネスをしているエイミーさん(@alj_jayhawk)が、ウッドフォーム親子に家庭用チョークをプレゼントしたんだそう。
ニューヨークには既に厳しい冬が到来している。しかしウッドフォーム家の温かい室内で、カラフルなチョークで遊ぶ息子君の姿が目に浮かぶようだ。