プーマの名作スニーカー「スウェード」の歴史を辿る

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一
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正式なモデル名は「スウェード VTG」。1970年代末から80年代中期にかけて旧ユーゴスラビアで生産されていた「スウェード」を復刻。2018年にも「スウェード90681」として同様のモデルが復刻されているが、これはよりオリジナルに近いシルエットを実現。当時の7ホールのシューレースを採用、アッパーとソールを接着剤で接合するセメント製法でつくられている。トゥボックスも小さめで仕上げられていて、ヴィンテージ風の出来栄え。¥11,000(税込)/プーマ

「大人の名品図鑑」スニーカー編 #9

スニーカーブームが続くなか、2021年10月にはマイケル・ジョーダンが現役時代に履いたシューズが史上最高額の約150万ドルで落札された。まだまだスニーカーにまつわる話題は尽きない。今回は好評だったスニーカー編の第二弾をお届けする。

1970年代のナイキ登場前、スポーツシューズ界の2大巨頭といえば間違いなくアディダスとプーマだった。その一つであるプーマの歴史は、20世紀初頭まで遡る。父が営んでいた靴工房を継いだアドルフとルドルフのダスラー兄弟は、1920年にドイツのヘルツォーゲンアウラハで「ダスラー兄弟製靴工場」を設立する。陸上競技やサッカーのスパイク製造などで順調に業績を伸ばしていくが、1948年に兄弟それぞれが独立を決意する。兄ルドルフは「ルーダ」というブランドを設立し、翌年には「プーマ」と改称、現在に至っている。

プーマのシューズを履いたスポーツ選手でいちばん有名なのは、ジャマイカのウサイン・ボルトだろう。2009年、彼が100メートルで9秒58をたたき出した時にも履いていた。ほかにもテニスのボリス・ベッカーやマルチナ・ナブラチロワ、サッカーではペレ、ヨハン・クライフ、ディエゴ・マラドーナなど、スポーツ界のレジェンドたちの多くがプーマを愛用した。

さらにプーマの特徴は、ファッション界とも密接な関係も持っていることではないだろうか。98年にはスポーツブランドとして初の試みである、人気ブランドのジル・サンダーとのコラボモデルを発表。以降もミハラ ヤスヒロ、アレキサンダー・マックイーン、ニール バレット、カール ラガーフェルドと、錚々たるブランドとのコラボレーションを行い、ファッション性の高いシューズとしても人気を集めている。

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