【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
幼い頃に視覚を失い、色や形の記憶がほぼないという全盲の白鳥建二さんは、年に何十回と美術館へ通う。ノンフィクション作家の著者は、白鳥さんとともに印象派の名画や現代アート、仏像を鑑賞。その様子を本書に綴った。白鳥さんには作品について説明する人が必要だ。彼は正確な描写や解説より、その人が作品からなにを感じたかを知りたいという。その人なりの解釈でいいし、混乱した時はそのまま言葉にしてほしいのだ。白鳥さんと著者のやり取りからは、美術鑑賞の新たな楽しみ方が見えてくる。