次世代のメタバース空間でアート体験を。Taiwan NOWバーチャル会場を徹底解説

  • 文:Pen編集部
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11月14日(日)23時59分まで開催されている<Taiwan NOW バーチャル会場>は、メタバース空間でアートを体験するまさに「アートイベントの未来」。

本会場のメタバース空間のシステム構築、技術開発、導入を手掛けたのは、台湾のVRアートスタートアップ「涅所開発/NAXS corp.」。NAXS corp.はバーチャルリアリティ(VR)やニューメディアにおいて、音と光のインスタレーションのほか、体験型の演劇イマーシブシアターや、インタラクティブな仕掛けを用いた実験的な手法で、デジタルイマーシブ体験の可能性を広げることを得意としている。

バーチャル会場内のすべてのプログラムは無料で鑑賞可能。最新のメタバース空間で次世代のアートイベントをぜひ体験してみてほしい。

Taiwan NOW バーチャル会場

https://virtual.taiwannow.org/

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アトリウム「みんなの花」

バーチャル会場にアクセスすると、Taiwan NOWのテーマ「ともに花をさかせよう」をコンセプトにした作品「みんなの花」のモーショングラフィックが全面に現れる。台湾を代表するデザインエージェンシー・JL DESIGNが手掛けたものだ。

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右下の操作パネルは、左から音量調整、言語切替、操作ガイド、全画面表示切り替えのボタン。
高速のWiFi環境であれば、PCだけでなくやスマートフォンからも閲覧が可能だ。iPhoneの場合、ブラウザはSafariを選択、高速のWiFi環境での鑑賞がおすすめ。

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手前(画面下)に浮かぶ、色玉がバーチャル会場内でのあなたのアバターとなる。
会場内でほかの色玉に出会うとき、世界のどこかで同時にこの会場にアクセスしただれかと同じ仮想空間にいることになる。訪問者同士のコミュニケーションはできないものの、双方向に盛り上がりを感じられることができるのはメタバース空間でのイベントならではの感覚だ。

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グーグルマップのストリートビューを操作するように、進みたい方向の床面をクリックするとアバターをその位置まで移動させることができる。
進行方向を変える時は、行きたい方向にマウスをドラッグすることで向きを移動する。このシンプルな操作でバーチャル会場内を自由に移動することができる。

アトリウムはバーチャル会場のエントランスであり、インタラクティブなVR作品になっている。
作品『みんなの花』は、Taiwan NOWのテーマ「ともに花を咲かせよう」をそのまま参加者が体験できるインタラクティブコンテンツ。

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空間(フラワーガーデン)の上を見上げるとカラフルなブロックに台湾と日本の交流や友好を願うメッセージが浮かんでいる。

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ひとつブロックを選択すると、ダンサーが身体をつかって祝福を表現したパフォーマンスが花開く。場内にいる参加者がメッセージを開くたびに、空間がパフォーマンスの花で満たされていく仕掛けだ。

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バーチャルコンサートホール:台湾人音楽会

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入場して左手のポータルドアに入ると、バーチャルコンサートホールが広がる。

コンサート(45分)は「台湾人」を全体のメインテーマとして、「海」「山」「土地」の3つのプログラムから構成されている。

それぞれ台湾の先住民族にルーツのある昊恩(ハオウン)、南王姊妹花(ナンワン・シスターズ)、生祥楽隊(Sheng Xiang & Band)が台湾民謡や先住民族、客(ハッカ)の音楽作品を披露。台湾の島の声を紡いで、心からの祈りと感謝を伝える。

音楽だけでなく、ムーンシャインアニメ/夢想動画とベテランのクリエイティブ・ディレクター王舒音(ドルチェ・ワン)とが手を携えたCGグラフィック・アニメーション映像も見どころ。ディープスキャンテクノロジーでミュージシャンの表情を捉えたCGと、それぞれの曲のイメージに合わせて台湾の文化や自然の特徴を表現したアニメーションの世界は必見だ。

コンサート中、参加者のアバターは浮遊する色玉となり、3つの異なる幻想的な世界に誘われ、「台湾人」の音楽を楽しむことができる。

01. 故事島/ストーリー・アイランドと昊恩(ハオウン)― この美しい島に美しい台湾人の姿を見る

台湾に伝わる白鹿を探す神話を映像化し、観客を湖畔から台湾音楽の新天地・高雄流行音楽中心(高雄ミュージックセンター)と誘う。台湾で長い間歌い継がれてきた民謡を、古典的なオーケストレーションのもとで、特別ゲストの昊恩(ハオウン)が歌い上げる。

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02. 南王姊妹花(ナンワン・シスターズ)― 村に残る美声 プユマの美を歌い継ぐ

先住民族プユマ族南王部落の出身の南王姊妹花。今回の公演では、南王部落の音楽の父、陸森宝(ルー・センバオ)の作品で、部落で長年歌い継がれている「イエス・キリスト」、「天国にいるかのように」、「Sling Sling Sling頌祭祖先」をメインに、ツォウ族の高一生が残した日本語の作品「長春花」をも歌唱する。プユマ音楽の美しさと祝福だけではなく、日本語の歌「長春花」では、日本への祈りが歌われる。

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03. 生祥楽隊(Sheng Xiang & Band)― 自分の歌を歌い、土地のために声を発す

長旅に出るトラックに導かれる物語は傷だらけで痛々しく展開していく。昔の農耕や生活様式が近代化、工業化、汚染、グローバル化によって乱され、追いやられていく中で、自分たちの言葉、土地を取り戻すために故郷に帰る道を見つける。かつての台湾での農村生活の純粋さや故郷の言葉、土地への愛着を歌うバンド演奏。

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公演時間 〜11月14日(日)まで毎日

  • 13:00、15:00、17:00、19:00、21:00、23:00

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バーチャル映画館:台湾ウェイブ

一度アトリウムに戻り右側のポータルドアに入ると、その先に広がるのがバーチャル映画館だ。

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映画館全体の空間は、バーチャル会場全体の導入を担当したNAXS corp.のVR作品。台湾から日本へと流れる黒潮をコンセプトに「海流」をイメージした空間デザイン。
奥に進むと空間に佇むスクリーンが現れてくる。

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オンデマンドのオンライン上映ではなくメタバース空間内の“映画館”であるため、上映スケジュールに則って映像作品が上映されていく。

上映作品は、「映像」「ショートフィルム」「アニメーション」の3部門で構成されており、「映像」部門をデジタル芸術基金会が、「ショートフィルム」「アニメーション」蘇逸華(スー・イーホア)と林青萱(リン・チンシュエン)がキュレーションした。
アイデンティティ、歴史、エスニシティの観点から、台湾の多様性と創造的なエネルギーを紹介し、台湾の特徴を色濃く反映した映像作品が選出されている。映像6作品、ショートフィルム7作品、アニメーション8作品とバリエーションに富んだ全21作品がラインナップ。
どの部門も台湾の若い世代のビデオアーティストやクリエイターたちが、従来の映像表現の枠を超えた、実験的な試みを行っている。台湾アートファンだけでなく、映画・映像ファンも必見のプログラムとなっている。

<上演スケジュール>

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バーチャル劇場:三魂の途

3つ目の「バーチャル劇場:三魂の途」は、メタバース空間そのものに没入することで物語に引き込まれる新感覚のニューメディアアート。

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画面左下のインフォメーションナビから選択してホールを移動することもできる。

映像と音が参加者を奥へ奥へ導く本作品は、宇宙や歴史そのもののような、あるいは参加者個人の深層心理のようなメタバース空間の中で、私たちが作り出す物語の本質、そしていかに私たちを自分自身が自身の無限の繰り返しに束縛されているかを問いかけている。

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《三魂之途》。圖片由涅所開發提供/Image of Virtual Theater_ Roaming
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《三魂之途》。圖片由涅所開發提供/Image of Virtual Theater_ Roaming

バーチャルアトリウムからはじまり、バーチャルコンサートホールやバーチャル劇場、バーチャル映画館で、様々なアートや音楽・映画を楽しむことができる。次世代のメタバース空間で、まさに“台湾のいま”のクリエイティブを体感してみて欲しい。

Taiwan NOW公式アンバサダー/オードリー・タン氏によるツアービデオ

Taiwan NOW(台湾ナウ)

メイン会場:東京都千代田区丸の内2丁目7−2 KITTE
他、バーチャル会場(オンライン)/ 台湾・高雄(12月25日予定)
会期:10月30日〜11月14日
公式サイト:https://www.taiwannow.org/

Taiwan Nowの公式SNSで日本と台湾の{あるかもしれない}未来の予報を発信中
Instagram @taiwan_now_pr

Twitter @taiwan_now_pr


※開催日時・内容などは変更となる場合があります。事前の確認をお薦めします。

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