パイロットウォッチとはどのような腕時計か?
パイロットウォッチも、ミリタリーウォッチ同様、過酷な現場で磨かれた時計だ。しかしパイロットウォッチには、どこかロマンティックな魅力も加わる。自由に空を飛びたいというシンプルな憧れが、時計に宿っているからだろう。
飛行機の時代が始まるのは20世紀初頭。1903年にライト兄弟が人類初飛行を実現させたのは有名な話だが、パイロットウォッチの開発が進んだのは、長距離飛行が可能になった1920年代になってから。正確に時を刻む腕時計は、飛行技術やテクノロジーに合わせて進化し、パイロットウォッチというジャンルになる。
現在のコックピットは電子機器に囲まれているが、それでもパイロットは腕時計を身に着ける。それはシステムがダウンした時の最後のよりどころであり、お守りのような存在だからだ。
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ロンジン「ウィームス セコンドセッティングウォッチ」
航空航法の父といわれるアメリカ海軍の大佐ウィームスが考案した「ウィームス セコンドセッティングウォッチ」は、正確な飛行を行うために必須だった“正確な秒計測”を行うために考案された時計で、1928年に考案され、翌年に商品化。どのタイミングでも正しく秒の経過を読み取れるように、センターの60秒表示がぐるっと回るような仕組みになっていた。
この時計を1995年に復刻したのが「ウィームス セコンドセッティングウォッチ」。この時計が登場するや時計愛好家から大きな話題となり、現代へと続く“復刻時計ブーム”の始まりとなったという逸話もある。まさにパイロットウォッチの原点であり時計トレンドを作った価値ある時計である。
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ブレゲ「タイプⅩⅩⅠ」
天才時計師として名高いアブラアン-ルイ・ブレゲ。現代の時計技術のべースをいくつも作り上げた彼の名声は、主にドレスウォッチに対してであるが、パイロットウォッチでも超一流だ。初代ブレゲの末裔であるルイ-シャルル・ブレゲは飛行機に魅せられ、1911年に航空会社を設立。第一次世界大戦ではフランス空軍に飛行機を納品していた。ゆえに航空業界でも、”ブレゲ“の名は有名なのだ。
パイロットウォッチの歴史は、1950年代にフランス海軍航空部隊のために製作された「タイプ ⅩⅩ」が始まる。ブレゲの高い技術に加えて、初代ブレゲが考案したコインエッジなど、クラシカルなデザインを取り入れているので、他のパイロットウォッチは違った歴史的な魅力も深いのだ。
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ゼニス「パイロット タイプ20」
フランスの航空史に燦然と輝く飛行士ルイ・ブレリオ。彼は1909年にフランスとイギリスにまたがるドーバー海峡の飛行横断に成功し、一躍フランスの国民的英雄になった。彼の飛行機には安全な飛行をサポートするための計器が備わっていたが、それはスイスのマニュファクチュール、ゼニスが製作したものだった。腕時計にもゼニスをつけていた。つまりゼニスのパイロットウォッチには、フランスの誇りが詰まっているのだ。
時計のデザインは、当時の計器を思わせる重厚感とレトロ感が取り入れられており、ケースも大きめ。大型のオニオン型リューズも特徴だ。ちなみにダイヤルに「PILOT」と明記できるのは、ゼニスだけだそう。「パイロット タイプ20 TON-UPブラック」は、ケースがエイジング加工されており、その風合いも美しい。
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IWC「パイロット・ウォッチ・マーク ⅩⅧ」
1936年からパイロットウォッチを製作しているIWC。さまざまなモデルを作ってきたが、やはり主役とあるのは「マーク」シリーズだろう。その原点は1948年に英国空軍に納品した「マークⅩⅠ」。やや小ぶりなケースの中には、耐磁性の高い軟鉄製のインナーケースが収まり、ムーブメントを保護している。
このマークⅩⅠは、ⅩⅡ、ⅩⅤ、ⅩⅥ、ⅩⅦと徐々に進化し、現在のモデルは、2016年にデビューした「マークⅩⅧ」。デザインは初代のスタイルを継承しており、軟鉄製のインナーケースなどクラシカルな構造も今も残している。まさにパイロットウォッチのマスターピースとして、誰からも愛される時計である。
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ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ43」
第二次世界大戦後にジェット機の運用が始まると、多くの国際線パイロットが誕生。彼らは長距離の飛行を安全かつ効率的に行うために、事前に綿密なフライトプランを立てた。その際に用いたのが航空用計算尺であり、ブライトリングは世界で初めてこの機構を時計に組み込むことで、より便利に使えるようにした。
1952年に誕生する「ナビタイマー」は、国際パイロット協会(AOPA)の公式時計となり、これによってブライトリングはパイロットウォッチの名門という名声を不動のものにする。現在はスイス・インターナショナル・エアラインズの公式タイムキーパーも務めており、正確な計時で空の安全を支えている。