危険が伴う未知の世界を旅しようとしない人に、人生はごく僅かな景色しか見せてくれない。あるアメリカ人俳優の言葉だが、旅をコンセプトとして2016年に大幅に進化したヴァシュロン・コンスンタンの「オーヴァーシーズ」は、世界最高峰のエベレスト登頂に同行(標高8888m)。まさに未知の世界を目指す過酷極まりない旅を経験した。
写真家兼探検家のコーリー・リチャーズは、2019年に最も困難とされる北東稜からのルートを選び、3度目の登頂に成功。彼が腕に着けていたのが、特別に開発された「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」のプロトタイプだったのである。2021年の新作として登場した「オーヴァーシーズ・エベレスト」は、このユニークピースをベースにデザインされた世界限定モデルであり、デュアルタイムだけでなくクロノグラフの2タイプが揃っている。
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磨きを変えたチタンで精悍さを表現
基本的なスタイルはレギュラーモデルと同じにもかかわらず、これまでになく精悍な印象を与える。ケースやベゼル、リューズ、クロノグラフ・プッシャーなどに、腐食に強く軽量で頑強なチタンを採用するだけでなく、それぞれ磨きを変えているからだ。ケースは金属の質感を強調した明るいサテンブラッシュ仕上げだが、6カ所をカットアウトしたお馴染みのベゼルとリューズはダークグレーのビーズブラスト加工。ダイヤルのグレイン加工(細かな粒状)に合わせたものだが、この特徴的なベゼルカラーがタフな顔つきの理由といっていい。ダイヤルに接するベゼルリングはステンレス・スチールで、艶やかな輝きを放つ。プッシャーもチタンの鏡面ポリッシュ仕上げ。ラグジュアリーなテイストを感じさせる。タフでなければ生きていけず、優しくなければ生きていく資格はないが、輝きのない人生なんてつまらないではないか。
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性能と美観を兼ね備えたクロノグラフ
「オーヴァーシーズ・デュアルタイム・エベレスト」は、大きな三角をトップにもつオレンジの針がもう1つのタイムゾーンを12時間で指し示す。その午前・午後(デイ/ナイト)を同じくオレンジの針を持つ9時位置のインジケーターが表示する。海外ではこれをホームタイムとして自国の時間に合わせる。コーリー・リチャーズも、エベレスト登頂の合間に、この表示を通して故郷を想う時があったに違いない。国内にいる時は、逆に関係の深い国の時間帯にしておくと現地への想像が膨らむはずだ。6時位置のポインター式日付表示はメイン表示(ローカルタイム)に連動している。
「オーヴァーシーズ・クロノグラフ・エベレスト」は、30分積算計(3時位置)と12時間積算計(12時位置)を備えており、センターのクロノ秒針とともに、濃紺のダイヤルカラーにコントラストするオレンジの針で合わせているので視認性が高い(9時位置はスモールセコンド)。操作感が快適なコラムホイール式で、針飛びの怖れがない垂直クラッチを採用。高性能なメカニズムと重厚な美観を兼ね備えたクロノグラフだ。
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旅の相棒にふさわしい2モデル
どちらのモデルも蓄光式蛍光が塗布されており、夜間など明かりのない場所でも時間を読み取れる。2016年の大幅リニューアルの際に、他に先駆けて導入されたインターチェンジャブルのストラップも継承。ラバーストラップとコーデュラのファブリックストラップを簡単に付け替えられる。両モデルとも世界150本限定。
遠くに出かけることだけが旅ではない。見知らぬ町の散策や、仕事も人生も、過去を回想して新しい何かを再発見するのもすべて旅ではないだろうか。いずれにしても「旅をしない者は人間の価値を知ることができない」といわれる。そうした旅の相棒に選びたい、軽量でタフなラグジュアリースポーツモデルといえるだろう。
問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755
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