フェンディとヴェルサーチェの対話から生まれた、ふたつのコレクションに注目

  • 文:白石菜美
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「ヴェルサーチェ バイ フェンディ」と「フェンディ バイ ヴェルサーチェ」のふたつのコレクションを発表。


フェンディは、9月26日にヴェルサーチェと史上初のコラボレーションとなる「フェンダーチェ」を発表した。
キム・ジョーンズとシルヴィア・フェンディがウイメンズウエアとメンズウエアのデザインをそれぞれ担当し、ヴェルサーチェの卓越したビジョンを表現。ヴェルサーチェのチーフクリエイティブディレクターであるドナテラ・ヴェルサーチェは全カテゴリーを担当してフェンディを独特の解釈で示した。
ブランドのアーカイブを開放し合い、互いのデザイン要素を取り入れた独自の掛け合わせが生まれ、「ヴェルサーチェ バイ フェンディ」と「フェンディ バイ ヴェルサーチェ」のふたつのコレクションを制作。
コレクションの根底には、互いのブランドのデザインコードやカルチャーに対する深い尊敬の念と、デザイナーとして互いを称え合う心があった。こうした敬意と信頼関係から結果が生まれる。突き詰めると、フェンダーチェは戦略ではなく今日のファッションに求められる誠実さにほかならないのだ。

ヴェルサーチェ バイ フェンディは、ヴェルサーチェの1990年代半ばから後半の時代にインスピレーションを得て、二面性を追求しており、その特徴はフェンディのモノグラムとヴェルサーチェのグリークキーモチーフの調和に現れている。以前のウエアはそのスタイルを変え、リバーシブルに生まれ変わり、レザーでつくられたチェーンなど、フェンディのアイコンやアトリエの精巧なクラフツマンシップを覗かせている。デザインは全世代に向けられたものだ。
フェンディ バイ ヴェルサーチェはパンクロックスタイルで、ドナテラいわく、異なる要素のミックスと破壊的な創造がキーになっているようだ。ヴェルサーチェのセーフティピンを多彩にあしらいフェンディのサインやシンボルに添えた。チェーンには、レースとフェンディのモノグラムを解釈したクリスタルの「F」を組み合わせている。シルクファイユはデニム風で、シアリングはシェービングを施し、フェンディの世界に若き反骨心を加えた。

フェンディとヴェルサーチェ、ふたつのアイコニックなファッションハウス、より正確には、これまでの慣習をくつがえす強力なチームがファッション界に巻き起こす、かつてない出来事だ。イタリアファッションへの賛美であり、既成概念を打ち砕く試みであるフェンダーチェは、大文字のFとV-2つを合わせた、自由(Freedom)、楽しさ(Fun)、芸術性(Virtuosity)を意味するファッションである。デザイナー同士の友情と尊敬の念を背景に、互いのブランドのシグネチャーを交換しているフェンダーチェに注目したい。

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2つの強力なチームが、既成概念を打ち砕く

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