カツカレー、目利きが選ぶ東京の四天王はここだ!

  • 写真:小野広幸
  • 文:マッキー牧元
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日本の洋食文化が生んだ究極のメニュー「カツカレー」。タベアルキスト、マッキー牧元さんが理想の4軒を語る。

1. 資生堂パーラー 銀座本店/銀座

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「沖縄アグー種 豚ロース肉のカツレツ デミグラスソース」(奥、¥2,670)と「トロトロに煮込んだ三元豚のカレーライス」(¥2,670)。カレーは他にビーフ、野菜の3種類。薬味に「玉ねぎのしょう油漬け」「福神漬」「らっきょう」「マンダリン(みかん)」が付く。

「いちばんおいしいカツカレーは?」と訊かれたら、「資生堂パーラー銀座本店」と答える。しかしカツカレーというメニューはなく、カツレツと三元豚カレーの2品を頼まなくてはいけない。高価になるが、十二分に報われる。

沖縄アグー豚のカツの衣を、カリッと破れば、甘い肉汁があふれ出し、カレーは、苦み、酸味、甘み、旨味、スパイス香などが、渾然とした味の厚みとなって、なめらかに舌を包み、陶然とさせる力がある。カツを齧って直ちにカレーとご飯を食べれば、口の中で互いが味を持ち上げ、とても幸せな気分に満たされる。その後にすぐカツを食べ、追いカツと洒落ても楽しい。品格が見事に着地したカツカレーは、「真の贅沢とはなにか」を教えてくれる味なのである。

資生堂パーラー 銀座本店

住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル 4・5F
TEL:03-5537-6241
※店舗情報が変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。 

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2. 目白 旬香亭/目白

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上が、スリランカのシンハラカレーを洋食にアレンジした「スリランカ式ブラックチキンカレー」(¥1,296)。右が「ロースとんかつ」(¥1,728)。ランチ時は「カツとブラックカレー」も。

最初に食べた時には、カツとカレーを組み合わせた。カレーをひと口食べて、これはカツに合うと確信したからである。とろりと舌を包むカレーは、最初は甘みを感じ、微かな苦みがそれを引き締め、やがて穏やかな酸味と深々とした旨味が広がっていく。

 ここに洋食屋の矜持を込めた上等なカツが加わるのだからたまらない。僕は白いご飯をスプーンにのせ、そこへカレーをたっぷりかけてから、ひと口大に切り、太陽ソースをかけたカツをのせて食べる。カツカレーの幸せは、こうして極まるのだ。

目白 旬香亭

住所:東京都豊島区目白2-39-1 トラッド目白 2F 
TEL:03-5927-1606
※店舗情報が変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。 

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3. のもと家/大門

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特別配合の純粋ラードで揚げた絶品のとんかつに、1皿で玉ネギ1個分を使う特製カレーをかけた「かつカレー」。売り切れ終いなのでお早目に。¥1,800

東京でも5本の指に入るとんかつ屋だけに、なによりカツが素晴らしい。カレーにまみれても、凛々しい肉汁はこぼれ、脂の甘い香りが漂い、きめ細かい肉には、噛みしめる喜びがある。

大量の玉ネギでつくられたカレーは、辛みやスパイス香の陰から顔を出す甘みがなんとも優しく、豚肉と実に合う。ご飯の質も高く、豚肉、カレー、ご飯の“優しさ三重奏”が響いて心を包み、食後はほのぼのとした温かい充足感に満たされる。それこそが、この店のカツカレーの魅力であり、人々を引き寄せる源なのではないだろうか。

のもと家

住所:東京都港区芝公園2丁目3-7 玉川ビル 2F 
TEL:03-6809-1529
※店舗情報が変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。 

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4. 立教大学第一食堂/池袋

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「カツカレー」は人気メニュー。なんとカレー類だけで多い時で1日200食も出る。在校生をはじめ教職員、OBやOGに愛され30年以上変わらぬ味。¥370

こんな優雅な学食はない。1919年にできた学食の入り口には「食欲は理性に従うべし」とラテン語で書かれている。高さ10ⅿの天井が心地よく、学食のイメージを覆す優雅な時間を過ごすことができる。

「カツカレー」は廉価だが、ご飯は山形県上和田直送のつや姫 やコシヒカリ。カレーはやや塩味が強く辛いが、見事に香り高い。カツは理想の厚さで、威張りすぎずにカレーの具として素直に馴染み、カレーとカツ、ご飯の三位一体の味が舌を捉え、スプーンを持つ手が止まらなくなる。

立教大学第一食堂

住所:東京都豊島区西池袋3-34-1 
https://www.rikkyo.ac.jp
※店舗情報が変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。 
※新型コロナウイルス感染症の拡大により当面の間キャンパス内に関係者以外の方は立ち入ることができません

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※この記事はPen 2017年8/15号「365日カレー天国。」特集より再編集した記事です。