法律や契約、交通や公共サービス、さらに家族や個人に根付く習慣など、日々の生活や行動様式を形成するルール。例えば美術館においても飲食や大きな手荷物の持ち込みが禁止されていたり、コロナ禍のいま、マスクの着用やソーシャルディスタンスなどのルールが付け加えられている。
そうした日常の中で遭遇するルールに着目したのが、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の『ルール?展』だ。法律家の水野祐、キュレーターの田中みゆき、そして人間の認知能力から行動や意志のデザインを研究する菅俊一の3名が、新しいルールの見方やつくり方、それに使い方などを提案している。アートやデザインからルールを再考するかつてない
ダニエル・ヴェッツェルらによる『あなたでなければ、誰が?』を体験して欲しい。ここでは「常に正しいことをしてきた」や「生活が良ければ民主主義である必要がない」などの問いが次々とモニターに映し出され、参加者は床の「はい」と「いいえ」を選んだり足のジェスチャーによって答えることができる。そして全てをデータとして集計し、過去の回答も可視化されているが、そもそもyesとnoで判断できない質問も多く、多数決のルールの問題点を浮き彫りにしている。
建物入口横の謎めいた標識とは…それは中国のアーティスト、葛宇路(グゥ・ユルー)が自らの名を表した作品のレプリカだ。この標識を葛は北京市内の無名の道路に設置。すると数年間撤去されないばかりか、地図サービスへ反映され、検索や宅配はおろか違反切符でも使われた。結果的に当局によって撤去されたが、誰も気づかなければ本物の標識、つまりルールであり続けたかもしれない。命名や所有のルールのあり方について考えてしまう。
この他、経済や売買システムの問題を扱った丹羽良徳の『自分の所有物を街で購入する』や、婚姻制度に代わる親密な関係性について考えた遠藤麻衣の『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』も、現代の既存のルールに対して再考を促すような作品と言える。ともすれば日常においてルールを無条件に受け止めてしまいがちだが、社会の構造に転換が迫られる中、より良い未来へ向かうためにはどのようなルールが必要であり、あるいは不要なのかを意識することが重要なのかもしれない。
展示室では「会場ルール変更履歴」として、来場者の行為によって更新されたルールも公開されている。これからは一体、どのようなルールが加わるのだろうか。なお




『ルール?展』
開催期間:2019年7月2日(金)~11月28日(日)
開催場所:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
東京都港区赤坂9-7-6
TEL:03-3475-2121
開館時間:11時~17時(平日)、11時〜18時(土日祝) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火 ※11月23日は開館
料金:一般¥1,200(税込) ※事前予約制
※臨時休館や
www.2121designsight.jp