New Watch Collection : Choose Your Face
腕時計を選ぶ基準は千差万別だが、心を惹きつける点に限って言えば、見た目、つまり「顔」に勝るものはない。便利な道具やさまざまな情報が世にあふれる中で、いま必要なのは純粋な衝動に、内なる心の声に耳を傾けることなのかもしれない。輪郭に蕩とろけ、色に淫し、古風と斬新の魅力に溺れる。ゲーテの弁を借りよう。腕時計選びにおいて「直感は誤らない、誤るのは判断だ」。
HAMILTON / ベンチュラ Elvis80 スケルトン オート
エルビス・プレスリーがひと目惚れし愛用したことで、世界に広く知れ渡った1957年の初代「ベンチュラ」。キャデラックのデザイナー、リチャード・アービブが生み出した「新時代の顔」といえる傑作だ。電池で駆動する世界初の腕時計にオマージュを捧げ、パルス波形のオーナメント、発射される電波のごとき折れ線をオープンワークで見せた。
※ケースサイズの表記は縦×横です。また、略記は以下の通りです。SS=ステンレス・スチール、YG=イエローゴールド、WG=ホワイトゴールド、RG=レッドゴールドもしくはローズゴールド、PG=ピンクゴールド
---fadeinPager---
トレンドに見る、変革への意思
今年のトレンドは、5つのキーワードに分類される。
時代の空気を映した各社の自信作をそれぞれ見ていこう。
PATEK PHILIPPE
Trend 1:Green
流行色ブルーの後継と目されていたグリーンが、一気にブレイクした。あらゆる有力ブランドで“緑の顔”を見ることができ、その使われ方の多彩ぶりもまた楽しい。グリーン文字盤のモデルだけを並べてみても、濃淡やトーンに違いがあり、グラデーションやサンバースト加工など、仕上げのバリエーションも多様。レザーやファブリック、ラバーといった素材の種類にかかわらず、ストラップにも緑は採用されている。もはやブランドを超えて、「グリーンの腕時計の中から選ぶ」ことすら不思議ではないほどの充実ぶりだ。
なぜいまグリーンなのか。そもそもブルーがこれだけ普及する前は、黒、白、シルバーといったベーシックな3色が大半だった。腕時計のアクセサリー化、ファッションとの合わせが重要性を増す中で、見栄えのよいカラーダイヤルが増えていき、ブルーの「次」として考えた時に、補色関係にある真逆の色よりも、類似色相であるグリーンはデザインの横展開がイメージしやすかったのだろう。「青緑」という言葉もあるように、色相環を眺めるとその関係性がわかりやすい。もちろん自然への回帰やレトロ志向といった時代の流れを受けた結果でもあるだろう。
ファッションとの合わせが難しそうでも尻込みする必要はない。腕時計ひとつでサマになる、主役級の腕時計が揃っているからだ。
グリーン人気の流れをつくったきっかけとして、2019年に発表されたパテック フィリップの「アクアノート」とロレックスの「サブマリーナー」が挙げられる。そして今年、パテック フィリップは「アクアノート・クロノグラフ」初のホワイトゴールドモデルを、ブルーとグリーンの両機で同時に送り出したのである。このグリーンのトレンドは間違いなく“本物”だ。
PIAGET
ZENITH
BAUME & MERCIER
---fadeinPager---
Trend 2:SDGs
社会のあらゆるシーンに浸透しつつある、SDGsの精神。SDGsとは、国連総会で採択された、17のゴールから構成される「誰ひとり取り残さない、持続可能な開発目標」。腕時計の世界でも、その好影響が表れてきている。そもそも腕時計は多様な協業の集合体であるゆえに、持続可能な開発を考えるきっかけとしてはうってつけの存在だ。企業として明快にSDGsが掲げる17の目標に取り組むブランドもあれば、昔ながらの方法を続けることで、結果としてSDGsに貢献しているところもある。
時計業界におけるわかりやすい例が、腕時計の外観を構成するマテリアルの出自だ。ゴールドを中心とした貴金属は、ともすれば採掘の現場で、鉱山労働者の劣悪な労働環境や児童労働に結びつく危険をはらんでいる。社会発展と環境保護を両立させることはSDGsの目標1 「貧困をなくそう」に直接的に関係している。たとえばショパールの“エシカルゴールド”は、「鉱山から市場までの完全なトレーサビリティ」を確保した、貴金属のフェアトレードの結果だ。見た目にだけではなく、社会的に見て、胸を張れる美しさなのである。
ステンレス・スチールでも、リサイクル素材を積極的に導入するブランドが登場。ストラップの素材にエキゾティックレザーの使用を避ける、植物性素材の採用や海洋廃棄プラスティックを再利用するなど、目標14 「海の豊かさを守ろう」や、目標15 「陸の豊かさも守ろう」に直結する動きもある。
もともとゼンマイで駆動する腕時計、ソーラーエネルギーを利用するクオーツ時計などは、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の縮図といえる。腕時計の顔とは、デザインだけではない。地球と社会の未来に対する姿勢が、その表情に出るのである。
CHOPARD
CARTIER
ORIS
THE CITIZEN
---fadeinPager---
Trend 3:Retro Sports
レトロな顔つきのスポーツウォッチが、今年ははっきりとした流行となっている。復刻やアーカイブからのインスパイア、スタイルが不変のロングセラーと背景はさまざまだが、少なくとも時代を遡る既視感に似た感覚が、逆にいま新鮮味を演出するのである。
ダイバーズウォッチには、レトロな佳品が数多く登場した。ブランパンの「フィフティ ファゾムス ノー ラディエーション」は、1960年代を思わせるディテールを満載した、レトロスポーツのお手本のようなモデルである。極め付きは、現在も病院などで使われている放射線標識にバツ印を重ねた、存在感のあるアイコンだ。「ノー ラディエーション」の名の由来でもあるマークは、放射性物質を含む塗料、具体的にはラジウムを利用していないことを意味する。60年代当時は、それまで使用されてきた自発光する放射性塗料が、人体に有害であると認識された時代である。ドイツ海軍にも納入していた「ノー ラディエーション」の面影は丸ドット、長方形、菱形を組み合わせたアワーマーカーや、灼けたようなベージュの夜光塗料、日付窓の白い縁取りに残された。
一方、グラスヒュッテ・オリジナルの「SeaQ」(シーキュー)は、69年に誕生した同社初のダイバーズウォッチのエッセンスを、巧みにデザインに取り込んだ逸品だ。クロノグラフでは2レジスター、いわゆるバイコンパックスが最新の流行をかたちづくろうとしている。3レジスターが本格的に普及するまでは主流だった横並び2つ目のクロノグラフは、逆にいま新鮮に映る。そして縦3つ目のスタイルも、爆発的な流行が始まった70年代は遥か昔。ラウンドケースと組み合わせると、オーセンティックな安定感を描き、これもひとつのレトロの代名詞と言えるだろう。
BLANCPAIN
GLASHÜTTE ORIGINAL
CARL F. BUCHERER
IWC
TAG HEUER
---fadeinPager---
Trend 4:Clear View & Rainbow
今年さまざまなトップブランドで試みられているのが「クリア」、つまり腕時計の盤面上で魅せる「透明感」の新しい表現だ。たとえばスケルトンウォッチ。伝統技法としてはムーブメントをどれだけ美しく削ぎ落としていくかという意識に基づいているのだが、21世紀のスケルトンやオープンワークは、もうそこにとどまっていない。機械を中空に架装し、緑色の針を浮かせてみせるジャケ・ドローのスケルトンなどは、まったく新しい構想に基づいている。削り落とすことが目的ではないということが、余白を含めた美しさからも十二分に伝わってくる。
そこに加わったのが、カラーサファイアによる新機軸。ケースにサファイアクリスタルを採用することで、クリア感は否応もなく増した上に、ムーブメントのピュアな美しさを際立たせることができる。トゥールビヨンのように精緻で複雑な機構を、カラーサファイアのケースに納めた佳品が登場したのも今年の収穫である。透けることを手段とするその技法は、オープンワークによりカーキグリーンの地板をフィーチャーすることで、ムーブメントの構成美を楽しませるゼニスの戦略にも通じる。
一方で、華やかな多色のレインボーカラーを腕時計に持ち込むことも、今年のトレンドである。そもそも天然の虹自体が、空気中の水蒸気を透過して分散された太陽光のスペクトラムなのだから、魅惑的なその色は透明感を伴っている。故に、ゴージャスにバゲットカットされたレインボーカラーのサファイアでベゼルを取り巻いてみせたシャネルは、カラーとクリアネスの両方で秀逸なのである。
JAQUET DROZ
LOUIS VUITTON
CHANEL
HUBLOT
ZENITH
---fadeinPager---
Trend 5:Collaboration
時計界以外のビッグネームとのコラボレーションは、ビッグサクセスにもつながる成功の方程式だ。現行モデルでありながら新しいフェイス、ブランドのイメージを見直させる斬新なルックスも、コラボだからこそできる冒険といってもいい。それは先入観をいい意味で覆すサプライズになる。
今年大きな話題を蒔いたモデルのひとつが、「ブルガリ アルミニウム」の限定ウォッチだ。コラボの相手は世界的に有名なDJ兼音楽プロデューサーのスティーヴ・アオキ。ホワイトの文字盤に本人のロゴを蛍光塗料で描き、暗闇の中にはっきりとしたグリーンで浮かび上がらせるという趣向。ケースバックにも本人の自署が、ブルガリのロゴよりも大きく掲げられている。ラグジュアリーブランドとして知らぬ者がいないローマのメゾンによる、世代を超えたカルチャー・アイコンへのリスペクト。意外なマッチングそれ自体も、大きな魅力である。
センセーショナルなトピックを提供したのがタサキの「プチ スカル」だ。デザイナーのフィオナ・クルーガーが自らの死生観を具現化し制作していたモチーフを、タサキならではのマザー・オブ・パールと緻密なグラフィックで一新。新たな生命を吹き込み、華麗な表情をもつ頭骸骨に昇華させた。
ウブロは、ロンドンを拠点とする著名なタトゥースタジオ、サンブルーと継続中のコラボに、ブルー、グレー、ホワイトのセラミックケースを加えた。サンブルーが切り拓いた「ジオメトリックなタトゥー」の新境地を、斬新な文字盤の表情に写し取っていく。
最高級のクルマづくりで知られるベントレーとブライトリングとのコラボは、もはや円熟の域。25本のみ限定生産されるのは、トゥールビヨン搭載のクロノグラフだ。
BVLGARI
TASAKI
HUBLOT
BREITLING
---fadeinPager---
個性派揃いの新作、気になる〝顔〟はどの一本?
2021年の新作はまさに百花繚乱。トレンド重視でいくか温故知新か、デザインで選ぶか、考えどころだ。
AUDEMARS PIGUET / ロイヤル オーク オフショア ダイバー
大型のタペストリー模様を描く文字盤の緑をバックに、蓄光塗料を効かせた18KPGのアワーマーカーと“ロイヤルオーク針”が映える。10時位置のリューズで操作するインナー回転ベゼルには、ブラックとベージュを配し、さりげないレトロ感もプラス。縦のヘアラインが凛々しいSS製のソリッドなケースが、精悍な表情をさらに引き締める。
LOUIS VUITTON / タンブール カーブ GMT フライング トゥールビヨン
キャリッジをVの字にかたどったトゥールビヨンと、Vの先端で第2時間を表示するGMTを左右に配した、新機軸デザインのハイコンプリケーション。スリットを透かす2重構造のダイヤル、蓄光塗料のブロックを嵌めたアワーマーカーと、見どころは満載だ。クロノグラフ風の一対のプッシュピースが実はGMT表示の順走・逆走用と、趣向も巧み。
BREGUET / マリーン クロノグラフ 5527
チタンケースの「マリーン」に登場したのが、待望のブルー文字盤だ。サンレイ効果の起点が中央ではなく12時位置のロゴにあり、放射状の線はインダイヤル外周の同心円(アズラージュ)装飾を越境する、凝った仕上げ。フランス王立海軍時計師を創業者にもつブランドだけに海時計へのこだわりも強く、ブルーの色調にも格の違いを感じる。
VACHERON CONSTANTIN / ヒストリーク・アメリカン 1921
自慢の自社製手巻きムーブメントの配列をずらしてまでも、見る者を惹きつけるデザイン性と豊かな文字盤の配置とにこだわった。誰もまねできない酔狂なフェイスは、1921年製モデル譲り。100年前には自動車を運転していても見やすいという確固たる理由があった。グレイン仕上げのダイヤルやレイルウェイを備え、伝説をいまに甦らせる。
CARTIER / クロシュ ドゥ カルティエ
「クロシュ」とは鐘のことだから、この腕時計はリューズが上の姿勢が正しい。そうすると12時が頂点を指し、ロゴも正立するレイアウトを採る。それを横にした表情もまた正しく美しいという、カルティエの卓抜な美意識の産物だ。名デザインに再び光を当てる「カルティエ プリヴェ」に加わった逸品で、オリジナルのモデルは1921年にまで遡る。
TIFFANY & CO. / ティファニー アトラス 34MM ウォッチ
文字盤のティファニーブルーは、世界に通じる魅惑のカラーコードだ。その魔法の色をバックに中心部を同心円のアズラージュ仕上げにし、外側のマットな地にダイヤモンドでローマ数字を描く。ジェンダーレスで愛されるのは、サイズだけでなく、普遍的なセンスゆえ。総ポリッシュのブレスレットはジュエリー級に映える。
FRANCK MULLER / ヴァンガード クレイジー アワーズ
序列を乱して配置されたアラビア数字の間を、1時間ごとに時針がジャンプする「クレイジー アワーズ」機構を搭載。文字盤の地には、さらに影のように二十数個の隠し数字が乱舞している。ゴールドを配したコンビの洒落たニュアンスが、インスピレーションの源泉であるアメリカン・アールデコの華やかさを思わせる。
JAEGER-LECOULTRE / レベルソ・トリビュート・ノナンティエム
表と裏に、まったく違う顔をもつ「レベルソ」。1931年の誕生から数えて90周年を祝う新作が登場した。6時位置にはムーンフェイズと秒針を搭載。そもそも「レベルソ」は時計本体が反転するアクションが魅力だが、このモデルでは裏側にセミジャンピングアワー、ディスク式の分表示、美しい絵柄とともにデイ・ナイト表示を装備する。
PARMIGIANI FLEURIER / トンダグラフ GT
注目のコレクション「トンダグラフ GT」の新作は、シルバー文字盤にブラックのサブダイヤルを合わせた、クールなツートーンフェイスが特徴。昨年発表したブラック・オン・ブラックのモデルとは趣を違えた軽やかな印象だ。3時位置に設けた、半円を描いた秒カウンターなど、名匠ミシェル・パルミジャーニの腕が光る。
HERMÈS / エルメスH08
エルメスがつくるまったく新しい腕時計と言えば、毎度、世界的な注目を集める話題作ばかり。こちらはスクエアなフォルムと思いきや巧みな曲線使いで、円形の文字盤と調和を図っている。両端にオレンジのポインターとケース形状をかたどった秒針、丸みを帯びた新フォント、グレーとブラックの切り替えなど、細部へのこだわりが光る。
TAG HEUER / アクアレーサー プロフェッショナル 300
人気ダイバーズウォッチ「アクアレーサー」のニューエイジ。角を立たせた特徴的なベゼルのシルエットをアワーマーカーとリューズにも採用。日付表示には拡大レンズをクリスタルの内側に仕込んでいる。剣型の太い時針と細身の分針を組み合わせ、夜光塗料の色もグリーンとブルーに変えるなど、さまざまなモディファイで表情を刷新した。
RADO / キャプテン クック ハイテクセラミック
1962年に誕生したダイバーズウォッチが、ラドーの看板であるハイテクセラミック製ケースを初装備。SS製の回転ベゼルにローズゴールドカラーのPVDコーティングを施し、黒衣の装いに華やかさを加える。ブラックのサファイア製文字盤から透ける自動巻きムーブメントには、耐磁性能に優れるニバクロンヒゲゼンマイを採用した。
TISSOT / ティソ シースター 2000 プロフェッショナル
ヘリウムエスケープバルブを備えた46mmの大型ケースに、600mの防水、逆回転防止ベゼル、約80時間のパワーリザーブ。ダイバーズとして完璧なプロスペックを備える一方で、太い針を際立たせる文字盤は、波模様を刻んだウルトラマリンブルーの美しいグラデーション。高耐圧であるのにシースルーバックな仕様も、高評価すべき点だ。
ROLEX / オイスター パーペチュアル エクスプローラー
サイズダウンの流行を決定づけるモデルともいわれる、36㎜径に“戻った”「エクスプローラー」。1953年の初代モデルが採用したケース径が、逆にいま新鮮な感覚だ。しかも“ロレゾール”=アイコニックなコンビ仕様が、数々の冒険に帯同してきたロレックスの歴史を思い起こさせる。ブラックダイヤルに、蓄光塗料の爽やかな白がまぶしい。
PANERAI / ルミノール マリーナ eSteel グリジオロッチャ
文字盤上の「eSteel」の文字は、ケースほか主要な部分に採用された、リサイクル素材をベースにしたステンレス・スチールを意味するパネライ独自の商標。SSには強いこだわりをもつパネライは、従来の素材と変わらない品質を達成した。グレーのストラップも原料はリサイクルPET。サステイナブルな高級腕時計をスマートに実現する。
HUBLOT / ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック カーボン
ケースとベゼルにはカーボンファイバーと、アルミニウムとグラスファイバーの複合素材であるテキサリウムを使用。軽量の新素材使いは、スポーティなルックスを強調する。マイクロローターを表側の12時位置に配し、自動巻きトゥールビヨンと上下で対称化したレイアウトも、見る者を独創的なダイナミズムの世界に引き込んでいく。
BELL & ROSS / BR 03 ダイバー ミリタリー
文字盤カラーのオリーブドラブは、米陸軍の旧戦闘服にも採用されていた“ミリタリーの伝統色”。褐色を帯びたその緑色と艶消しブラックのケースは、軍用規格(ミルスペック)を尊重するベル&ロスのダイバーズに好適だ。針とインデックスはクリアで見やすく、セラミック素材の採用で得た、見た目の重厚さとは裏腹の軽快な装着感も魅力。
HARRY WINSTON / HW オーシャン
鮮烈なイエローが目を射る、斬新なオープンワーク。秒と曜日のレトログラード表示が向かい合って対をなすデザインのオリジンは「プロジェクト Z10」に遡る。ケースに使用された特殊合金ザリウムは、超軽量、耐蝕性に優れ、宇宙工学にも用いられる素材。ダイヤル上をつなぐブリッジは、ニューヨークにあるマンハッタン橋に着想を得た。
BREITLING / クロノマット B01 42 ジャパン エディション ブラック マザー オブ パール
現行の「クロノマット」の原点は、イタリア空軍アクロバットチームに1983年に採用された公式クロノグラフ。その硬派な出自に、異色ともいえる華麗な彩りを添えるのがブラックMOP文字盤のバージョンだ。さらにゴールドの“B”ロゴを配したフェイスは、日本限定。力強さの中に、 一つひとつ異なる真珠母貝の輝きが美しい。
IWC / ビッグ・パイロット・ウォッチ 43
1940年のオリジナルモデルと同じ中3針のレイアウトに回帰し、43mm径のニューサイズに。生まれ変わった「ビッグ・パイロット・ウォッチ」最大の魅力は、際立つシンプルさだ。3mmサイズダウンした一方、日付表示もスモールセコンドもなくした文字盤は、ほどよい余白を美しいサンレイ仕上げのブルー文字盤に充てた。
A. LANGE & SÖHNE / リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ
ダークブルーの空に星々が輝く文字盤は、シルバー無垢の地にゴールドストーンを重ねたもの。月相を示すホワイトゴールド製ムーンディスクにも、628個の星をちりばめた。満天に煌めく極上のアベンチュリン効果を背景に、アワーマーカーにも五芒星のシンボルを配したメインダイヤルが、ロマンティックに時を描く。
OMEGA / スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター
アメリカ月面着陸プロジェクトのすべてに携行された“ムーンウォッチ”の中でも人気の高い“第4世代”は、アポロ11号の飛行士が人類で初めて月面に降り立った時にも着用したモデル。陽極酸化処理を施したアルミニウム製ベゼルリングをはじめ、その伝説のスタイルを“マスター クロノメーター”基準の最新技術で再現した一本がこちら。
TUDOR / ブラックベイ 41
大躍進中のチューダーから登場したのは、シルバー文字盤に中3針を組み合わせた、すっきり顔の新作。スノーフレーク針、ドットとバーのインデックス、サンバースト仕上げの文字盤のしつらえは、シンプルな中にもさりげない遊び心と個性が光る。合わせる服も選ばず使える、デイリーユースの機械式時計にふさわしい一本だ。
GRAND SEIKO / グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005
心に刺さる文字盤のテクスチャーは、荘厳な白樺林を表現したもの。グランドセイコーの機械式時計を製作する「グランドセイコースタジオ 雫石」と同じ岩手にある平庭高原は、白樺の群生で名高い。日本の原風景のひとつを写しとる文字盤の美は、他にはない感興を呼び覚ます。太い時針と、12時位置のインデックスのたくましさも見どころ。
CHANEL / J12 エレクトロ
カラフルなエッセンスを大胆に取り入れた「シャネル エレクトロ カプセル コレクション」が発表され、「J12」に新しい魅力の幅が広がった。1990年代のエレクトロミュージック・カルチャーにインスパイアを受け、そのエッセンスをインデックスとベゼルに配した12色のネオンカラーで表現。シックなブラックに艶めいた香気を添える。
RICHARD MILLE /RM 40-01 トゥールビヨン マクラーレン スピードテール
マクラーレンの1070馬力を誇るモンスター級グランドツアラーとのコラボレーションでは、時計のフォルムから歯車に至るまでスピードテールのデザインを多く取り入れる。チタンとカーボンTPTをフィーチャーしたケースだけでもパーツは69個にのぼり、鏡面やブラスト、サテンの多彩な仕上げを駆使した力作だ。
MONTBLANC / モンブラン 1858 ジオスフェール リミテッドエディション1858
スモークブラウンからベージュに移ろうグラデーションは、砂漠からのインスピレーションだ。パートナーシップを結ぶ登山家ラインホルト・メスナーによるゴビ砂漠約2000㎞単独横断へのオマージュで、文字盤の上下で南北半球が回転してあらゆる地上の現在時刻を示す「ジオスフェール」に重ねた。
LONGINES / ロンジン シルバーアロー
アーカイブの豊穣さを誇るロンジンが、1950年代の名モデルをきわめて精巧に復刻した新作。オリジナルのヘリテージモデル通りのシンプルなセンター3針は、日付表示も設けず、あえて自動巻きの表記すら避けている。「シルバーアロー」の復刻は12年ぶり2回目となるが、今回の再現度は段違いに高いクオリティだ。
GUCCI / GUCCI 25H
※この記事はPen 2021年8月号「ヒットの秘密」特集より再編集した記事です。