パラアスリートによる熱戦も終盤に差し掛かった東京2020パラリンピック大会。競技のかたわらでは、各国メディアのフォトグラファーに混じって視覚障害を抱えるひとりのブラジル人フォトグラファーが撮影に臨んでいる。
ジョアン・マイアがパラリンピックで撮影するのは、自国開催だったリオ2016に続いて2度目のこと。弱視でありながら写真を撮リ続けるマイアは、リオ2016での撮影を経て、より広く知られるようになった。そのポジティブな姿勢は、視覚障害者のみならず、多くの人に困難に打ち勝つ勇気を与えてきた。
このたびの東京2020へは、ブラジルのドリナ・ノウィル視覚障害者基金から親善大使として派遣された。同基金は、サンパウロに本部を構える創立75年の視覚障害者支援団体だ。マイアも視覚障害を負った後にこの基金でリハビリを行った。
14歳で写真撮影に目覚めたマイアが視覚障害を患ったのは2002年。サンパウロで郵便配達員を務めていた28歳の時だった。ぶどう膜炎により右目を失明し、左目も弱視となるが、その後08年から視覚障害者のための写真講座に通い続け、知り合ったプロのスポーツフォトグラファーの助けを借りて、リオ2016で撮影するチャンスを得たのだった。
マイアの左目に映るのは、ぼんやりとした輪郭と混じり合う色彩だという。それにもかかわらず、そのぼやけた景色と音を頼りに撮影される写真は、カメラの性能と視覚障害前からの経験も手伝って、見るものを驚かせるような仕上がりだ。
東京2020で撮影される写真は、ドリナ・ノウィル視覚障害者基金により写真展および写真集というかたちで発表される予定だという。またマイアは競技写真の他に、視覚障害者として東京2020で体験した異文化や会場のバリアフリー設備について、自らのSNSや講演会を通じて発表していく予定だ。
ジョアン・マイア
https://fotografiacega.com.br/
ドリナ・ノウィル視覚障害者基金
http://fundacaodorina.org.br/