機械式時計の黄金時代といわれる1940〜60年代に登場した傑作モデルの復刻、あるいはリファインが常識的になってきた。1853年に創業した老舗時計ブランドのティソも、豊富なアーカイブから数々の名作を復活させてきたが、その年代をクオーツエイジにまで拡大。1978年に発売されて人気を博したモデルを再解釈した「ティソ PRX」を今年2月にリリース。さらに、ムーブメントをロングパワーの自動巻きに置き換えた新作「ティソ PRX オートマティック」が追加された。オリジナルはクオーツモデルとして誕生したので、機械式ムーブメントの搭載は時計史的には逆行であり、アクロバット的な試みといえるかも知れない。
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個性的な格子状のエンボス加工ダイヤル
それだけに外観は特徴的で、フラットなトノー(樽型)シェイプに丸型ダイヤルを組み合わせるだけでなく、幅広の水平リンクを連ねたブレスレットと一体化。ベルトとの接続部であるラグがないため、手首を包み込むようにフィットする。厚さ10.93㎜のスリムなケースと合わせて、軽快でシャープな印象。70年代のデザインだが、レトロと表現するほどではなく、むしろ時代を超越した都会的なモダニズムが感じられる。
クオーツモデルのダイヤルはプレーンだが、自動巻きの新作は格子模様のエンボス加工(型押し)が特徴。その上にメタルのバーインデックスを植え込んでいるので、立体感が高い。ケースやブレスレットも、陽光を反射するポリッシュと金属の質感を強調するサテンで磨き分けており、華やかな煌めきが漂う。
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利便性が高い、最長80時間のロングパワー
搭載された自動巻きムーブメントは「パワーマティック80」。最長80時間のロングパワーなので、週末に腕から外したり、別の時計に着替えても、3日以内であれば巻き直しや日付の調整は不要。テンプを往復振動させるヒゲゼンマイも非磁性合金のニヴァクロン製。磁気に強いだけでなく、気温の変化に起因する精度誤差も少ないという。
「ティソ PRX」のPRは“Precise and Robust(高精度かつ堅牢)”を意味。それに続くXは防水性の10 気圧(100m)をローマ数字で示している。つまりは近年話題の“ラグスポ(ラグジュアリースポーツ)”をクオーツで先駆けたコレクションであり、それが高性能な自動巻きムーブメントの搭載によって高級感を増したといえそうだ。いずれにしても、シーンを選ばずスタイリッシュに普段使いできる、利便性に優れたモデルなのである。
問い合わせ先/ティソ TEL:03-6427-0366