足元は怖くて見られない! 地上42階のガラス張り展望デッキがオープン

  • 文:仁尾帯刀
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サンパウロのビル群の景観が楽しめる新たなスポット「サンパ・スカイ」。平然とセルフィーを楽しむ人もいるが、係員に付き添われてデッキに上がる人も少なくない。

人口1233万人を抱える南米一の都市、サンパウロ。しかしそこに東京スカイツリー(634m)や横浜ランドマークタワー(295.8m)のような超高層建築物はない。この街で最も高い建物は、中心街に立つ1966年完成の高さ170mのビル「ミランチ・ド・ヴァレ(谷の展望台)」だ。商用雑居ビルであることからこれまで観光施設などなく、名称の通りに谷間に位置するため周囲の丘の上のビルよりも低く感じられ、老朽化した同ビルが注目されることは久しくなかった。ところが今年8月に入って様相が一変。ビルが連日、セルフィー目的の訪問者を迎えるようになったのは、42階にガラス張りの展望デッキ「サンパ・スカイ」を8日にオープンしたからだ。

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安全だとされていても、薄氷の上を渡るような不安な気分にさせられる。コロナ対策とガラスの透明性の維持のため、係員がこまめにガラスの拭き掃除を行っている。

展望デッキは面積700㎡のフロアの東側と南側にふたつある上、フロアの2面の壁面が床から天井までガラス張りなので、中心街から周辺域までの都会の景観が広く見渡せる。常時係員が人数を管理している展望デッキは、建材として信頼されるガーディアン・グラス社製の強化ガラス4枚をPVB樹脂で接着したもので覆われている。安全だとわかっていても、ガラスの底面越しに自動車や歩行者がはっきりと見て取れる地上150mの高さには現実感が伴うこともあって、いざデッキに踏み込むと身がすくむ居心地の悪さを覚える。

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鉄骨の突端に設置された展望デッキ。営業時間後には、天井と床に設置されたレールを滑るようにフロア内に収納される。

デッキでの滞在時間はストップウォッチを握る係員により3分間と制限されているが、オープンから日が浅いこともあって、スリルとともにセルフィーを楽しみたい人により前売りチケットは連日完売が続いている。このサンパウロの新しい観光スポットに訪れるなら、チケットを購入できても当面は3〜4時間の待ち時間を覚悟して臨んだほうがよさそうだ。

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ビルから突き出た展望デッキは、シカゴのウィリス・タワー内「スカイデッキ」を模してつくられた。本家が412.4mの高さで勝負なら、サンパ・スカイはビルの老朽化によるスリルで勝負?

サンパ・スカイ

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