ブラジル発フィンテックNubank(ヌバンク)の躍進が目覚ましい。
2013年に、当時は珍しかった年会費無料のクレジットカードを発行するスタートアップ企業として創業したヌバンクは、17年には支店をもたないスマートフォン・アプリケーション対応のみでの銀行業務を始め、今年6月までの8年間で顧客数4000万人を獲得した。その内訳で、昨年1月からの顧客が2000万人と、パンデミック中の成長にも目を見張るものがある。
17年には既に評価額10億ドル以上のユニコーン企業と化し、金融IT業界での注目株だったが、今年、アメリカの『TIME』誌により「世界で最も影響力のある100社」に選出された。直訳すれば“全裸銀行(Naked Bank)”を意味するヌバンク。各種手数料が高く、煩雑な手続きを伴う従来型の銀行が占める業界にあって、社名には透明性の高さを掲げた成長を謳う企業ポリシーが込められている。
---fadeinPager---
事業成功の裏には、ブラジルにおける格差が
このヌバンクの成功には、新興国ならではのブラジルの社会事情が大きく影響している。スマートフォンの普及とキャッシュレス化の拡大というデジタルインフラの整備が進んでいる一方、著しい格差社会にあって16歳以上の国民の1/3が銀行口座を保有していない(2019年度)というギャップにヌバンクの勝機があったのだ。口座の開設すらもオンラインで簡単に手続きできることで、これまで大手銀行が相手にしてこなかった低所得層を積極的に取り込むことができたのだ。
19年2月には個人顧客への融資を、20年12月には保険サービスをと事業を拡大し、既にメキシコ、アルゼンチン、コロンビアでの操業も始めている。ブラジルのスタートアップの模範とされるヌバンク。ラテンアメリカを舞台にした、さらなる席巻から目が離せない。
Nubank
https://nubank.com.br