【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
1936年に韓国で生まれて56年に来日、以来、日本を拠点として活動する美術家、李禹煥(リ・ウファン)のエッセー集。内容は、自身の創作活動からレンブラントの自画像の解釈、新型コロナウイルスについての美術家の視点での考察まで多岐にわたる。なかでも、沈黙の先にある表現の可能性や自己への抑圧が創作に与える影響など、美術家の内面の動きを言い表す文章が見事だ。窮地に陥った際の対処法は、キリストや孔子などの偉人ならどうしたかと考えること。数々の人生訓も実に味わい深い。