東京には、まだまだおいしい店が目白押し。評判の人気店を紹介しよう。
1. 東京餃子樓 三軒茶屋本店
出しゃばらない、ご飯のおかずの名脇役
「ご飯に合う日本の餃子」をコンセプトに、約20年前に開店。地元の三軒茶屋はもとより東京中の餃子好きたちに支持されている、餃子専門店の先駆け的な存在だ。
なるほど、小さめのサイズとパリッと焼き上がる薄めの皮、そして、特別な主張をしない餡の定番的な味わい。さらには、1人前6個¥290というリーズナブルな価格も、まさしくご飯のおかずに徹する名脇役といったところだ。また、ニラとニンニクのありなしも選べるため、ランチであれ気兼ねなく食べることができる。
土谷政史マネージャーは「当たり前の食材を使い、製法にもこだわりはない」と語るが、さらに聞けば「新鮮な素材を使うことはもちろん、野菜は“2度切り”という歯ざわりのいいカットを。また、焼き方も店舗や調理人で大きな差が出ないよう指導は徹底します」とこともなげにさらり。加えて、備え付けの自家製ラー油も独自の製法で、より唐辛子の風味を高めるなど、実のところ仕込みや調理の随所にはこだわりが宿っているのだ。
しかしそれをこだわりではなく、スタッフ全員が当たり前のこととして一品一品にていねいな仕事を心がける。その真摯なスタンスがブレのない安定の味わいを生み、永きにわたり愛され続けるゆえんなのだろう。
東京餃子樓 三軒茶屋本店
住所:東京都世田谷区太子堂4-4-2 ラウスパレス三軒茶屋
TEL:080-5433-2451
営業時間:11時30分〜深夜3時30分L.O.
定休日:無休
www.puzzle-fs.co.jp
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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2. ヤンヤン/東銀座
お腹がいっぱいになる、ビッグサイズなお袋の味。
リズミカルに打っては延ばす、中国北部に伝わる手延べ麺。製造の様子を店頭で見ることができる、銀座の有名中華料理店がこちら。職人技で打たれた麺料理の人気の高さはもちろんのこと、多彩なメニューにあってファンの多くがオーダーするのが「焼き餃子」であるという。
驚くのはそのサイズだ。通常、7〜8㎝もあれば大きいと感じるが、こちらの餃子はなんと11㎝をゆうに超える大きさ。そのインパクトには、初めてオーダーする客の大半が驚くという。加えて、価格は5個入りの1人前で¥550とリーズナブル。それを問うと、女将の相原さんは「日本に来て驚いたのが、ご飯のおかずに餃子が食べられていたこと。中国ではあくまで主食ですから。だからこれくらいの大きさは当たり前なんです。それに、お腹いっぱい食べてほしいじゃない」と、笑う。
相原さんは「特別なことはなにも。ごく普通の餃子よ」と謙遜するが、その実、銀座という土地柄を考慮しニンニクとニラは控えめに。ショウガを多く入れることでさっぱりと食べられるようにしているという。
確かに、皮も厚すぎることはなく餡とのバランスも理想的で、脂っぽさやしつこさは感じない。中国版お袋の味ともいうべき、ほのぼのとした味わいだ。
ヤンヤン
住所:東京都中央区銀座4-10-12サマリヤビル1・2F
TEL:03-3542-8989
営業時間:10時〜23時L.O.
定休日:年末年始
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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3. 九州藩 渋谷宇田川店/渋谷
アツアツなのが嬉しい鉄鍋焼きは、屋台ならではの知恵。
栄枯盛衰の激しい渋谷にあって、43年の歴史をもつ老舗の九州料理店。九州全土の美味いものを扱うが、常に上位人気を誇るのが、この鉄鍋餃子である。
鉄鍋餃子は、30年ほど前に博多・中洲の屋台で生まれた酒の肴がそのルーツ。ひと口で食べられるサイズ感や、冬の屋外でも冷めづらいよう鉄鍋での提供など、屋台ならではのスタイルもユニークな博多っ子のソウルフードだ。九州藩では餡はもちろん、皮も手づくり。しかも、より新鮮な状態で提供したいとの思いから、オーダー後に餡を皮に包み焼く。提供には20分程度かかるため、最初のオーダーから注文するのが得策だろう。
鉄鍋により弱火でじっくりと焼き上げられた餃子は、皮表面はパリパリながら、餡は使用する豚バラ肉の旨味が広がるしっとりした口当たり。1台20個と数は多いが、親指大のサイズとカツオ出汁のさっぱりしたタレにより、いくらでも食べることができてしまう。また、タレとともに出される自作の赤柚子胡椒を合わせれば、爽やかなピリ辛風味が加わり、さらに箸が進むのだ。
九州藩 渋谷宇多川店
住所:東京都渋谷区宇田川町17-2 伸工ビルB1F
TEL:03-3463-0442
営業時間:16時30分〜25時30分L.O.(月〜土) 16時30分〜23時L.O.(日、祝)
定休日:無休
www.kyushuhan.com
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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4. パオ 愛宕店/虎ノ門
絶妙な皮と黒コショウが生む、旨味の極み餃子。
店名になっているパオの語源は、「包君満意」から。訳するならば「この包みはあなたの満足を保証する」。この言葉だけでも、包み、つまりは餃子への意識の高さを感じさせてくれる。
具を包んでいる皮をしっかり噛みしめ味わっていると、餃子とは総合力が必要とされる一品である、と感じざるを得ない。特に注目すべき点は、皮のもとになる粉がきちんと溶けて練られているか。店主が考える皮のあり方を追求し、ようやく出合えたものなのだ。そして羽根は、その皮をつくっている専門業社が選び抜いたコーンスターチがもとになっている。ゆえに、全体のバランスが整っているという感覚だ。
餃子の餡は、台湾の胡椒餅をイメージすれば、なるほどと思う味わいだ。黒コショウが生み出す抜群のインパクトが、忘れられない印象へと変わる。この黒コショウの細かさも、計算した上でのこと。餃子とは誰もが想像しやすい味わいゆえ、実は本当に難しく、細かい分析が必要なのだと感服してしまうだろう。まずはなにもつけずに、香り方を意識した味わいをお薦めしたい。
パオ 愛宕店
住所:東京都港区西新橋2-15-12 日立愛宕別館 B1F
TEL:03-3506-8100
営業時間:11時30分~13時30分L.O.、17時~22時L.O.
定休日:日、祝
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
この記事はPen 2016年4/15号「1冊まるごとおいしい餃子。」特集より再編集した記事です。