シチズンの「シリーズエイト」は、引き算の美意識をデザインコンセプトに掲げ2008年に誕生。元来は光発電のエコ・ドライブを搭載するモデルを揃えていたが、2021年に機械式腕時計ブランドとして装いも新たに再始動した。「シリーズエイト」の8は「∞(無限)」を意味しており、ハイテクウォッチから機械式まで全方位に展開可能なシチズン時計のものづくりに対する無限の可能性を込めたシリーズであることを示している。
「シリーズエイト」の870メカニカルは、いままで国内ブランドの機械式腕時計には見られなかったモダン・スポーティーなデザインが特徴だ。日付表示付きの3針式というオーソドックスな構成に薄型の自動巻きムーブメントを搭載。直線とシンプルな面で構成されたソリッドなケースラインは現代的で躍動感あふれる印象であり、デザインに直線を積極的に取り入れることでシンプリシティーを貫いている。粗目のヘアラインを施したステンレス製のケース・バンドのテクスチャーは、昨今ヴィンテージウォッチとして最も注目を集める1970年代のスポーツウォッチの雰囲気を感じさせる。またベゼルのシルバー×グレイのバイカラーが、現代的なテイストを醸し出している。
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機械式ウォッチデザインの新たな解釈
ヘアラインとミラー仕上げを施した2層構造のベゼルはブラックダイヤルのモデルと同じ構造だが、ホワイトダイヤルのモデルはベゼルを着色処理せず素材の輝きを生かしてワントーンでハイキーに仕上げている。大胆で力強く、機械式腕時計の存在感を演出しながらも決してマッチョな印象ではないのがポイント。針やインデックスの太さも視認性を十分に確保しながら過剰さを感じさせない、節度あるバランスでデザインされている。
ブルーの文字盤が爽やかな印象のモデル。ウレタン製のベルトは質量が軽く、スポーツアクティビティとの親和性が高い。「シリーズエイト」は、すべてのモデルが10気圧防水。日常生活用の強化防水仕様なので、ゲリラ豪雨や水仕事にも耐えられる。とはいえ防水の効いたケースの中では繊細なメカニズムが稼働しているので、落下などさせないように注意を払うのは、機械式腕時計を使用する上での基本的なルールだ。
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異素材の組み合わせが生む、スポーツエレガンス
「シリーズエイト」830メカニカルで目を引くのが鮮やかで艶やかなダイヤルのデザイン。白蝶貝と金属という異素材の運命的な組み合わせが、見る角度によって表情を刻々と変えていくオーロラのような輝きをもたらす。細かいパターンで穴の開けられたメタル素材から透けて見える白蝶貝のテクスチャーは懐かしいようで未来的でもある。繊細かつ立体感のあるダイヤルの仕上げと呼応して、美しさに力強さを加える役割を果たすべく、直線基調で構築されたリューズガードがさらに個性を引き立てる。
ケース・バンドにブラックIP仕上げを施し、針とインデックスをゴールドにしたアーバンテイストのモデル。本品も含め、このページに登場した5モデルはシチズンが新造した機械式ムーブメントCal.0950を搭載。心臓部であるテンプ振動数は28,800回/時、すなわち1秒間8振動の心拍を打つ。自動巻きと手巻き双方に対応し、最大に巻き上げれば50時間の連続駆動が可能。日差-5〜+10秒の高精度に加え、“第2種耐磁性能”を備える。通常、機械式腕時計は磁気を放つ機器との相性が悪く、腕時計の内部部品が磁気を帯びてしまうと時間のズレの要因にもなるが、この第2種耐磁性能により、スマートフォンのスピーカー部やイヤホンなどに近づけても磁気の影響を受けにくい。デジタルガジェットにあふれた現代の環境でも、安心して使うことができるのだ。