実はサステイナブルな、アラスカ産シーフードの秘密

  • 文:森一起
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今夜のおかず選びが、実は地球の未来を左右するかもしれない。そんなことを言ったら、訳の分からない夢想家だと思われるかもしれない。しかし、少しの間考えてみて欲しい。帰りのスーパーでセールになっていた切り身の魚たち、自炊するより安そうな立ち飲み居酒屋の白身魚のフライ。どうして、こんな価格で並べられるのだろう? 時々、素朴な疑問に包まれることはないだろうか。

旬だから、たくさん獲れたから、市場で余剰になっていたから……。目の前の魚たちを獲り尽くしてしまえば、いつか海は枯れてしまう。そんな簡単な理屈に、長い間私たちは目をそらしてきた。

サステイナブルという言葉を頻繁に聞くようになって久しい。Sustainable=持続可能な、なんとなく日本語訳は分かっていても、どうしたら地球や環境に優しく暮らすことができるのだろうか? 冒頭のシーフードに立ち返って、サステイナブルなシーフード選びについて考えてみよう。

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数の子といくらの紫蘇酢和え、銀だらの煮つけ、ホッケの辛子竜田揚げ、タラ田麩と明太子ごはん。和の極み、松花堂弁当の魚たちははすべてアラスカ産のシーフード。

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東京赤坂で江戸懐石の近茶流料理教室を主宰するほか、TVドラマなどの料理指導なども、数多く行っている。

今回、シーフード・サステイナビリティの世界的モデルであるアラスカのシーフードを使って、和食の規範の一つである松花堂弁当を仕立ててくれたのは、江戸懐石近茶流(きんさりゅう)の現当主、柳原尚之だ。近茶流は、江戸時代、文化文政の頃に興ったといわれる柳原家家伝の料理道で、江戸爛熟期の文化を背景とした多様な料理の技法を伝える。柳原は日本料理・茶懐石の研究指導を行う傍ら、NHKドラマ「みをつくし料理帖」、大河ドラマ「龍馬伝」などの料理監修、時代考証も手がけ、TBS「渡る世間は鬼ばかり」の料理所作指導でも知られる。

アラスカの広大な大自然に憧れ、ベッドの脇に「ナショナル・ジオグラフィック」の写真を貼っていた柳原少年は、大人になりNHK「きょうの料理」で結成された「おかず青年隊」の一員として、初めてアラスカに渡る。そこで目の当たりにしたものは、漁師たちの徹底した自然への畏敬の念だった。例えば、神の恵みとされるサーモンは決して乱獲せず、一定の捕獲量に達したら目の前を泳いでいたとしても、獲らないという選択肢を取る。それは、あらゆる天然の水産資源においても徹底されていた。

「今、当たり前にあるものが、いつまでも当たり前にある訳じゃないと教えてくれたのはアラスカでした」と語る柳原は、以後、自らの料理教室でも積極的にアラスカ産の食材を使ってきた。

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いくらに数の子、タラに銀だら、赤魚と、ふだん何気なく食べているお馴染みの食材は、実はアラスカ産のシーフードであることが多い。
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近茶流アラスカシーフード松花堂弁当と名付けられたメニューには、このほかに赤魚を使い、うすい豆を出汁で伸ばした翡翠椀も添えられた。

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少年の頃から憧れていたアラスカの地で、サステイナブルについての視線が開眼したという江戸懐石の若き担い手。

今、世界には、種の存続の危機に瀕している生物がたくさんいる。海の生物たちも例外ではなく、実は2000種以上の魚類が国際自然保護連合のレッドリスト入りしている。だが、今回の松花堂弁当のおかずになった魚たちには、レッドリストに載っているものは1つもない。

赤魚、数の子といくら、銀だら、ホッケ、タラ、そのすべてがアラスカシーフードを使っているからだ。アメリカ最後の開拓地であり、サステイナビリティのはじまりの地であるアラスカは、持続可能な水産資源の活用について州憲法で謳っている唯一の州だ。

今、世界中で広がっているサステイナブルなシーフードを求める動き。だが、今晩の夕食のおかずを選ぶ何気ない選択が地球の未来を左右すると言われても、環境問題の専門家や料理人でもない限り、いったい何を選べばいいか、判断できないに違いない。そんな時、とてもシンプルで分かりやすい方法がある。

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スーパーの魚売り場で迷った時、アラスカの漁船がデザインされたアラスカシーフードのマークを探すことだ。その時あなたは、おいしさだけでなく、責任ある選択を選んだことになる。そして、その選択こそがサステイナブルなシーフードをサポートする賢者の行動に繋がっているはずだ。

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アラスカシーフードマーケティング協会 PR事務局
(株式会社TYOパブリック・リレーションズ内)
TEL: 03-5413-4670 E-mail: ASMIJapan@tyopr.jp