「これって映画のセットでしょ?」「CGなのでは?」と思いきや、いえいえ、これはロンドン南部にあるマルチ型集合住宅ユニット「エンバシー・ガーデンズ」に実在する居住者用のプール。地上35mの高さにある、2つの高層マンションの屋上が、まるで橋を架けるように25mのプールで繋がれている。
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スカイプールのオープンに対する1つ目の「NO!」
この6月、ロンドンに熱波が到来した。スカイプールはその直前(5月26日)という絶妙のタイミングでオープン。気持ちよさそうに泳ぐ人たちの姿が大きく報道されたのだが、直後から2つの「NO!」の声が大勃発したのだ。
1つめの「No!」は高所恐怖症の人たちからの声。「ハフィントンポスト」(イギリス版)では、スカイプールの動画に対し、世界中から「こんなプール、怖すぎる!」「一生入りたくない」との声が上がったことを紹介している。プールはアクリル製の透明な素材で作られている。そもそも35mという高さだけでも怖いのに、透明なプールの中で下を見たら……と想像するだけで、寒気が走るらしい。
So...yeah...this is a big NO for me. https://t.co/7xdtIM0OEw
— Don Winslow (@donwinslow) June 1, 2021
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Not in a million years https://t.co/PzXztjqJ8U
— Neil Delamere (@neildelamere) June 1, 2021
Certain images can only bring one song to mind... https://t.co/5u4kHnXfkv pic.twitter.com/FVt4DSPLCn
— Roy Wood Jr- Ex Jedi (@roywoodjr) June 1, 2021
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2つ目の「NO!」は?
2つ目の「No」は、エンバシーガーデンズに住んでいるのにこのプールに入れない人がいる、という事実だ。この集合住宅は2つのエリアに分かれている。1つは高級フラットとして分譲された個人所有エリア。もう1つは現在政府が進めている「シェアード・オーナーシップ(Shared Ownership)」制度で分譲されたエリアだ。後者はフラット一軒を買うのではなく、一部(25%~)の権利のみを買い、残りの部分は住宅協会が所持する共同所有権制度。住宅協会所持ち分に毎月家賃を支払う必要があるが、比較的少ない頭金(といっても高いのだが)で持ち家が可能になる。恐ろしいほど高額で売買されているロンドンの不動産市場において、この制度は救世主となっている。この「シェアード・オーナーシップ分譲エリア」に住む住人は、スカイプールに入る権利がないのだ
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「メトロ」紙はこの件に関し、住宅協会側の言い分を掲載。シェアード・オーナーシップ分譲エリアをできるだけ安価に抑えるため、プールなどアメニティへのアクセス権を限定したと説明している。個人所有エリアとシェアード・オーナーシップエリアは入口も異なる。マルチ型集合住宅における後者側の入口を、イギリスでは「Poor Door(貧しいドア)」と呼ぶ。こうした分かりやすい格差が隣り合わせで存在することは「格差社会を助長するもの」と批判を呼び、議論に発展した。
Here are two entrance lobbies to the same building at Embassy Gardens in Nine Elms by @ballymore – one for 'affordable' housing, the other for private flats. So much for Sadiq Khan's pledge to outlaw 'poor doors'. pic.twitter.com/iZeI0ymomD
— Olly Wainwright (@ollywainwright) January 26, 2021
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【動画】絶対泳ぎたくない⁉ 恐怖の空中プール
2つの「NO!」を知った上でこの動画を見ると、また違う味わいがあるかもしれない。