これぞ世界に誇りたい建築、スターバックス リザーブロースタリー 東京

  • 文:海老原光宏
  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER)
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1階エントランス付近から見た店内の様子。店内のベースとなるデザインは世界共通で、ゴールドを基調とし、張り巡らされたパイプやコーヒータンクが目を引く。

建設ラッシュに沸く東京の中でも、注目すべきはどれか? デザインとコンセプトで群を抜く、世界に誇りたい建築を、Penが厳選した。今回は、「スターバックス リザーブロースタリー 東京」について紹介しよう。

2019年2月にオープンしてから、連日賑わいを見せているスターバックス リザーブ ロースタリー 東京。世界で5番目となる中目黒の店舗は、外装デザインを隈研吾、インテリアをスターバックスのデザインチームが手がけた。1階のメインバーから4階のイベントスペースまで、徹底した空間づくりがなされている。

DMA-5_CR10022.jpg隈研吾がデザインした外観は、木材を用いて落ち着いた印象を与えている。明るさが劣化しないよう、特別な処理が施された杉板を全面に使用した。

圧巻は、1階から吹き抜けを貫くコーヒー豆の巨大な貯蔵庫。桜が有名な目黒川沿いという立地に合わせて、銅板で製作された桜の花が外装に舞い散る。貯蔵庫を中心に、豆を運ぶパイプが店内に張り巡らされていてラボラトリーのようだ。また、折り紙をモチーフとした幾何学的な天井にも注目。焙煎の音やBGM、会話などが心地よくさざめき、音においても最適な環境がつくり出されている。

外観は、隈が得意とする木を特徴的に用いて覆った。使用した木材は、白さが退行しないよう加工された杉板。通常、スターバックス リザーブ ロースタリーの内装はダークトーンだが、東京店では白い外観に合わせ、明るくまとめている。世界各地の店舗に共通するコンセプトと地域性を反映したデザインとが、美しく融合した。

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目黒川沿いに花開く、遊び心に満ちたコーヒーワールド

DMA-2_CR10231.jpg1階から4階までを貫く高さ17ⅿの貯蔵庫。表面を槌目(つちめ)加工の銅板121枚が覆う。周りには約2000枚の桜を模した銅板が舞い、焙煎時には振動でひらひらと揺らめく。

DMA-3_CR10127.jpg3・4階にはテラスを設置。春は眼下に桜を愛でることができる。家具は天童木工の別注品。奥に見える植栽は自動で給排水されるシステム

DMA-4_CR10205.jpg2階ティバーナの壁面には、約2300個のコーヒーカップが手作業で埋め込まれた。

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3階の「アリビアーモ バー」。壁面には樽を埋め込み酒場らしさを演出している。カウンターバックは、吹き抜けを見通せるよう、シースルーとした。

スターバックス リザーブロースタリー 東京

設計 : 隈研吾建築都市設計事務所、リズ・ミュラー(スターバックス) 2019年
住所:東京都目黒区青葉台2-19-23
※店舗情報は変更となる場合があります。事前にご確認ください。
www.starbucks.co.jp/roastery

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※Pen2019年11/1号「TOKYO 建築案内」特集よりPen編集部が再編集した記事です。