2020年3月31日にイギリス王室の公務を引退したヘンリー王子。現在は、アメリカに居住しているが、祖父にあたるフィリップ殿下の葬儀や、母・ダイアナ妃の生誕60年を記念する銅像の除幕式に参加するために帰国しており、その様子が報道されるなど、なにかと話題を集めている。ニュース映像では彼の袖口がアップになることはほとんどないのだが、ヘンリー王子が愛用している腕時計の一つはブライトリングのパイロットウォッチだ。
ブライトリングはスイスの名門ウォッチブランドであり、特に航空業界と繋がりが深いことで知られる。1952年に航空回転計算尺(フライトコンピューター)付きベゼルを備えた「ナビタイマー」を発表。1983年にはイタリア空軍の依頼を受けて「クロノマット」を開発している。これらの2コレクションは基本的に機械式ムーブメントを搭載しているが、ヘンリー王子が使用しているのはクォーツの「エアロスペース・アバンタージュ」である。
「エアロスペース・アバンタージュ」は、1985年にパイロットに向けた「腕に装備する計器」として開発された「エアロスペース」をブラッシュアップして、2005年に誕生。1/100クロノグラフやカウントダウンタイマー、第2時間帯表示、アラーム、ミニッツリピーターなどの多機能を備えており、これらをリューズ一つで操作できる。夜間飛行のためのナイトビジョンゴーグル(NVG)に対応したバックライト機能も備えるなど、ハイスペックなプロフェッショナル・ウォッチだ。
実際に、ヘンリー王子は2006年から2015年までの約10年間にわたり、イギリス陸軍航空隊に在籍したため、この腕時計を着用するのも納得できる。さらに、このモデルには一般にはない特別なデザインが施されていることに注目してほしい。
それが、ダイヤルの左右に見られるモチーフ。まず、9時位置にあるのは「ウィング」と呼ばれる陸軍航空隊の胸章。同じものが上写真の軍服の左胸ポケット上部にある他、メーガン妃との結婚式に着用していた軍服(フロックコート)にも飾られていた。3時位置は線が細くわかりづらいが、彼が操縦していたアパッチ攻撃ヘリコプターと見られる。ちなみに、ブライトリングのロゴにも翼が描かれており、ヘンリー王子の腕時計には2つの「翼」があるわけだ。
ヘンリー王子の腕時計は特別仕様であり、一般にはこうしたカスタマイズは受け付けていない。「エアロスペース・アバンタージュ」は生産が終了しており、後継モデルは「エアロスペース エヴォ」になる。
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