6月25日に発売されたソニーの完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル「WF-1000XM4」。早くも現在品薄状態となるなど、高い人気を集めている。
音の好みというのは人それぞれ。低音がガツンとくるイヤホンが好きな人もいれば、高音がきれいに響くイヤホンが好きな人もいる。筆者はどちらかというとバランス型で、低周波数から高周波数まで満遍なく音が聞こえ、音の分離感がよく、定位がよくわかるような音を好んでいる。その上、自然なリバーブ感(奥行き感)も欲しい。ただ音圧があるだけのものは、あまり好みではない。最近の流行りであるノイズキャンセリングに関しては、あまり気にしていない。そんなわがままな耳を持つ筆者が、ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」をレビューする。
少々重めだがフィット感は良好

「WF-1000XM4」の重さは片耳約7.3gと少々重め。しかし、装着するとフィット感が高いのであまり気にならない。イヤーピースが独自のノイズアイソレーションイヤーピースを採用。反発性の高いポリウレタンフォームを使用しており、遮音性の向上にも一役買っている。

ドライバー(イヤホンの音を鳴らす機構)は6mm。可動性を高めた振動板を採用しており、低音域の再生能力が向上しているとのこと。最近は完全ワイヤレスイヤホンでも8mmや10mmといった大きめのドライバーを採用しているものが増えているので、6mmというのは比較的小さめだが、音質はいかに。

電池持続時間は、イヤホン単体であればノイズキャンセリングオン時で最大8時間、ノイズキャンセリングオフ時で最大12時間。充電ケースは2回分の充電が可能なので、ノイズキャンセリングオンで最大24時間使えるということになる。バッテリーに関してはあまり心配することはなさそうだ。
そのほか、片耳での使用が可能なので、オンライン会議などで使用するときにも便利になっている。
最新のモデルらしく、ハードウェア面に関しては隙がない印象。充電ケースもコンパクトで持ち運びしやすい。ソニーらしく洗練されたプロダクトだ。
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音質は文句なし。ノイズキャンセリングも優秀
気になる音質だが、これがすこぶるよい。音圧がありながらも、低音から高音までバランスよく鳴っている。楽器それぞれの音がクリアに聞こえ、定位もバッチリ。ほかのイヤホンでは気付かなかった、細かいニュアンスまで伝わってくる。音質に関しては、同価格帯の他の製品よりも一歩抜きん出ている。
実は筆者は、ソニーの音はあまり好みではないと思っていて、真剣に使ったことがなかった。しかしその印象はこのイヤホンで大きく変わった。さすがソニー! と急に手の平を返して褒め称えているくらいだ。
唯一気になった点といえば、低音。ソニーの音があまり好みではなかった理由が低音の出方だった。やけにズンズンしていて聴いていて疲れてしまう。また、不自然さも感じていた。その傾向は「WF-1000XM4」にも若干残っているのだが、慣れてしまえば気にならないレベル。アプリのイコライザーでカスタマイズをすればそのあたりはある程度解消できるので、それほど問題ではないと感じた。

ノイズキャンセリングに関しても優秀で、電車内や街の雑踏などでも周囲の雑音をうまく消してくれている。おもしろかったのは、「アダプティブサウンドコントロール」という機能で、スマホのアプリと連動し、使用者が移動すると周囲の状況を感知してノイズキャンセリングのオン・オフ・外音取り込みを自動的に行ってくれるもの。電車に乗っているときはノイズキャンセリングがオンになっているが、電車から降りて歩き出すと外音取り込みになり、立ち止まると再びオンになったりする。また、電車内でも車内放送がかかると外音取り込みになったりする。これなら周囲の音を聞き漏らす確率も減るだろう。
ただし、この機能をオンにしていると頻繁にノイズキャンセリングのオン・オフを繰り返すので煩わしさも感じる。この機能自体をオフにすることもできるので、状況に応じて使い分けるといいだろう。
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この価格帯でも納得の音質&機能
「WF-1000XM4」の価格は3万3000円(税込)。最近ではノイズキャンセリング付きの完全ワイヤレスイヤホンでも1万円台といった製品が増えてきているので、ちょっと割高に感じるかもしれない。しかし、音質面、ノイズキャンセリングの優秀さという点においては、価格以上の感動を得られる。まさに「耳が喜ぶ」とはこのことだろう。
音質に関しては個人の好みに寄るところが大きいが、「WF-1000XM4」なら多くの人が満足できるはず。その上機能面も充実しているので、この価格でも納得するだろう。品薄状態はまだ続くかもしれないが、今までよりもワンランク上の音質を手に入れたいのなら、おすすめできる製品だ。